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2017年11月12日(日)

教員オススメの一冊14:センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダー
著者:レイチェル・カーソン(Rachel Carson) /  訳:上遠恵子  /  写真:森本二太郎
発行年:1996年
発行元:新潮社
おすすめしている教員:萩原ナバ裕作


 

「知ることは感じることの半分も重要ではない」

 

今から24年前、私ナバが環境教育の世界で働き始めて数年後に出会ったこの本にそう書いてありました。おそらく環境教育指導者やインタープリターの本棚には必ずあるバイブルのような本。一人でも多くの人に自然の素晴らしさを伝えよう、そして社会を変えていこうと必死になっていた20代そこそこの私にとって衝撃的な言葉でした。そしていまだに「ブレることのない軸」」になっています。

20年以上も経った今、この本を紹介する理由は、情報過多・知識偏重になり続ける現代の大人たちに改めて送りたい言葉であると感じたからです。

著者は、DDTをはじめとした化学薬品による環境汚染にいち早く警鐘を鳴らした名著「沈黙の春」を書いた生物学者レイチェル・カーソン。「沈黙の春」はケネディ大統領の目にもとまりDDT全面使用禁止のきっかけを作りました。本著はそんな彼女の遺作として、友人らが出版したものです。

学者というと「知ること(知識)」を重視しそうに思われがちですが、なぜ彼女は「感じること」の重要性を書いたのでしょうか。そのきっかけをつくったのは、甥っ子のロジャーでした。

レイチェルが夏の避暑地として甥っ子のロジャーと毎年過ごしたメーン州の海岸。ロジャーが海や森で過ごし足元に広がる様々なものに感動する姿を見て書き綴ったものでした。母親でもなく、他人でもない「ナナメ」の関係から見ていたレイチェルだからこそ、ひとりの幼い子どもが自然の中で感じる驚きや感動をより強烈に感じとっていたのかもしれません。

 

「子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。」

 

そうレイチェルは書いています。知識を詰め込むよりも、知識や知恵を生み出す土壌を耕すことの方がとても重要なのです。

 

県内で森のようちえんが広がる今、

子育てや教育に頭を悩ます親や教師が増えている今、

そして頭でっかちな大人が増え続けるように感じる今、

もう一度彼女の言葉に耳を傾ける時なのかもしれません。

 

自然の中でたくさん遊んで過ごしていたという上遠恵子さんの素晴らしい訳と、まるでロジャーの視線を映し出すかのような八ヶ岳在住の森本二太郎さんの素敵な写真が、レイチェルが伝えたかったであろうメッセージを完璧な形で日本の読者に届けてくれています。

すべての大人に読んでほしい珠玉の一冊です。

 

なんちゃって先生 萩原ナバ裕作

 

萩原・ナバ・裕作
自由な遊び&自由な学び
環境教育
インタープリテーション
研究テーマ 「森と子どもをつなぎたい」「遊びと学びをつなぎたい」「自由と責任をつなぎたい」
社会を変えていくには、まず土台から。大切なのは、人と自然、それが基本です。森ではじまる人づくりはそんなことを目標にしています。

 

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