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2017年09月29日(金)

ロッテンブルク大学サマースクール2017報告(その1)

アカデミーと協定を結んでいるドイツのロッテンブルク林業大学が開催するサマースクールも、今年で4年目になりました。このサマースクールには、同じように先方と連携している鹿児島大学・岩手大学のほか、いくつかの大学からも学生と引率の教員が参加します。今年のサマースクールは、9月17日から24日までの8日間の日程で行われました。

サマースクール2017に参加したエンジニア科1年生の日下部智一くんが、8日間の様子を3回に分けて報告します。

 

 

エンジニア科1年の日下部です。9月17日~9月24日までの1週間、ドイツのロッテンブルクで行われたサマーセミナーに参加してきました。森林文化アカデミーからの参加者は学生1人/教員1人で、他大学を含めると約50人の参加となりました。

 

9/17(1日目) Trippstadt市有林

トリップシュタット市の市有林にあるHaus Der Nachhaltigkeitという施設に行きました。直訳すると持続可能な家です。年間3万5千人が訪れるそうです。トリップシュタットの市有林についての情報が分かりやすく展示してあり、木工品や山でとれたキノコを使った加工品などが売られていました。この山は、エコパークで誰でも制限なく入ることができ、木の実やキノコは自分で消費する量なら勝手にとっていいそうです。

環境教育施設

 

地図を凸凹のボードに映写した展示です。実際の起伏が再現されていました。

これは現地の森林官(フォレスター)のアイデアだそうです。下の写真は、赤線がエリアの境界線で、黒い線がハイキングコース、赤い点が東屋です。他にも、赤と黄と緑の三色のみでエリア内を区分けした地図などがありました。異なる地図を映写することで様々な情報を見せられるののが、この方式のメリットだと思いました。

展示されている立体地図

 

ここは、子供から大人までが楽しく森林環境教育を受けることができる施設だと思いました。

年間3万5千人訪れる背景には、大人への環境教育が確実にされていることがあると思います。

こういった施設を家族で訪れることで、子供たちも自然と楽しみながら環境教育を受けることができるので、とてもいい流れができていると思いました。

 

9/18(2日目) ナラ林の施業・ナラの製材(樽用)

午前に、300年生のナラ林に行きました。300年生にしては細いナラでした。ここは砂岩地帯で養分が少なく、水が抜けやすいので成長が悪く年輪が細かくなるそうです。上質のナラは、ドイツでは樽用の材として使われます。樽用として育てられる山は、ドイツでもここを含めて二ヶ所しかないそうです。

 

ここの土地はブナが生えやすく、元々はブナ林だったということでした。木を伐り、光がたくさん入るとナラが生えてくるそうです。そのため、ナラ林を育てるためには、光のコントロールが大事になります。光が入り過ぎないようにするために、カンバやブナの除去をするときは伐ってしまわず巻き枯らしをすることがあります。これ以外に、間伐をするときに後生枝の発生を防ぐ目的で巻き枯らしをすることもあるそうです。

 

巻き枯らしをするために作られた道具がありました。この道具は樹皮を剥いだり、ブラシでこすったりすることで巻き枯らしさせます。どのような形の木でもできるけど、次の写真の道具と比べると大変だそうです。

樹皮を剥ぐ道具

 

下の道具は、ソーチェーンを3本並べて取っ手に付けたものです。よく切れるけど丸い木でないと使えません。凹凸の凹の部分が切れないからです。

ソーチェーンを束ねた巻き枯らしの道具

 

このように手間をかけてナラを育てていました。どうしてナラを育てるかというと、ブナより3倍ほど高く売れるからです。コストと手間をかけてナラを育てるか、土地に合っているブナを育てるのがよいか色々な意見があると思いますが、二箇所しかない樽用の山なのでコストと手間をかけてでもナラを育てるべきだと思いました。

 

午後からは、製材所に行きました。この製材所は、ドイツで唯一のワイン樽用専門の製材をしている会社です。原木を仕入れ、材を挽くところまでやるそうです。

製材前に、節に青い丸、切る所に青い線を引きます。人工乾燥させると臭くなるので、人工乾燥はしません。乾燥は樽屋がやるので、ここでは製材だけをします。

製材前のナラの丸太

 

製材は、いきなり材を挽かずに、大きな薪わり機のようなもので四等分してから製材していました。この大きな薪わり機のような機会は企業秘密で写真を撮ることができませんでした。

はじめから挽かず、割る理由としては、繊維をきらないためと内側から木の状態を見るためです。繊維をすごく意識されているようでした。薪割り機のような機械であれば、大きな木でも細かくできるので大きな製材機を買うよりも良いと思いました。

 

原木からこのような材になるのは、全体の四割です。残りの六割は薪になるそうです。芯に近いところは未成熟部分で、樽材として使えないから六割もの端材がでるようです。

樽用に製材された板

 

 

9/19(3日目)  風力発電

風力発電や、太陽光発電など再生可能エネルギーの発電をしているjuwiという会社を訪れました。

社用車が電気自動車で、車庫の上にあるソーラーパネルで発電していました。

電気自動車と屋根にソーラーパネルが載った車庫

 

ドイツにも風力発電の固定買取価格がまだあります。この制度が終わったときにどのように経営していくかが課題だそうです。また、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど世界に支社があるので、それぞれの国の事情を踏まえて経営しるんだるなと思いました。

午後からは実際の風力発電機を見に行きました。近くで見るととても大きくて、羽が回るスピードが速く感じられました。鳥が発電機の羽に当たり、打ち落とされる被害があるそうですが、その対策として、発電機を設置する前に1年間のフィールド調査をしたり、渡り鳥の来る時期やコウモリが飛ぶ時間帯は、風車を止めるそうです。

山の中にある風力発電機

この風力発電機が設置されている山は、この地域の自治体の山です。発電機は自治体が管理しており、juwi社はコンサルタントをしています。自治体は土地を提供し管理をすることで、この発電機からの収入の何割かをもらっているようです。風景的には良くないけど、儲かるからやっているそうです。

山の中とはいうものの、発電機の近くまで大型のバスでも行けるようなところなので、設置できるのだと思いました。

 

エンジニア科1年 日下部智一


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