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2018年03月10日(土)

ドイツ&スイス&イギリス森林教育視察 実況報告③(ドイツ編)

視察3日目はいよいよドイツ。ロッテンブルク大学があるバーデン・ビュルテンベルク州から北西に3時間ほど車で移動したラインラント・プファルツ州にあるHaus der Nachhaltigekeit(=直訳すると「サステイナビリティの家」)を訪問しました。

ラインラント・プファルツ州には、プファルツの森と呼ばれる広大な森(州の75%が森)やワインのための葡萄畑(州の6%)があってそれらを含めた広大な地域を1992年にユネスコのバイオスフィア・リザーブ(日本ではユネスコ・エコパークと呼ばれています)として認定されました。バイオスフィア・リザーブ(ユネスコエコパーク)とは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的にユネスコが認定を始めたものです。

1992年の認定をきっかけに、「この地域の文化と自然の重要性を伝える施設が必要だ」ということでトップダウンではなく、ボトムアップの形でセンター設立の構想が始まり、2005年にオープンしたそうです。施設運営を、州の森林管理部門であるLandesforsten RLPが担当しているあたりも、森林州ならではのスタイルです。

この地域の資源でもある地域材(パイン材)と砂岩を使って作られたガラス張り(ペアガラス)の建物の中に入ると、ちょっとおしゃれなホテルのロビーのような感じでハッとさせられました。入ってすぐに展示物が待ち構えている施設を想像していた私にとってはちょっとびっくりしました。

ホール内には、環境教育や持続可能な暮らしに関する本やグッズと共に、この地域の産物(ワインやパスタや蜂蜜、ジビエの加工品、木工品など)がこれまた地域の家具職人によって作られた展示台に入って販売されていました。

他にも、この施設で使われているペレットストーブやソーラーパネルなど再生可能エネルギーを「見える化」して展示してあったり、実際に地域に暮らしている人たちのこの地域に対する思いの「生の声」がイヤホンを通して聞ける展示があったりと「暮らし」「地域」を意識した展示がたくさんありました。

持続可能な暮らしを「伝える」だけではなく、「実行してもらう」にはこうした仕掛けも必要ですよね。

ここでは、持続可能な暮らしを伝えるために、マーケット(サステイナブルなグッズだけを売るクリスマスマーケットには15000人もの人が来るとか。)など年間に40本もの大きなイベントを開催する活動を中心に、環境教育プログラムを学校に実施したり(年間50本程度)、ガイドツアーをしたり(年間30本程度)、セミナールームでの研修会実施の会場提供をしているそうです(年間50回程度)。それ以外にもインターネットHP(年間650,000件)やメーリングリストでのニュースレター会員(3,000人)といった間接的な普及もしているそうです。

さらにこの施設の運営方法で感心したのが、

* 大学、教会、芸術家、博物館、農家など、多種多様な人との連携をしているということ。

→ 常に多様なパートナーを探していることが大事。

* 地域の森に対する立場毎に異なる意見(中には対立する意見も)を共有するということ。

→ 1本の木でも、自然保護家と林業家と教育者とでは伐採するか否か判断が違う。

* 人間形成を目的としたツリークライミングの実施など多様な森の活用提案

→ マーケットなども良い例。

* 施設自体を地域の人や学生と共に創り上げていくという意識

→ センターの壁は学生らと、庭は地域住民と一緒に作ったそうです。

といったことです。

これからアカデミーにつくる「森林総合教育センター」の参考にしたい要素や考え方がたくさんありました。

最後に、今回この施設を案内してくださったのはこの施設のマネージャーのLandesforsten RLP(州の森林管理部門)のMichael Leschnigさん。なんと彼もまたフックス教授の教え子なんだそうです。バーテンビュルテンベルク週内だけでなく、ドイツ全国に教え子を送り込んでいるフックス教授、ドイツの教育担当フォレスターの「父」と言っても過言ではない人ですね。改めて一緒に仕事をさせていただいてることを感謝しています。

まだまだ視察は続きます

なんちゃって先生 萩原 ナバ 裕作

 


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