活動報告
2018年03月09日(金)

ドイツ&スイス&イギリス森林教育視察 実況報告②(スイス編)

視察2日は、チューリッヒ近郊にある”Naturschule(自然学校)”のひとつ「Waldschule Honggerberg」を訪問しました。市内から車で20分ほど西にある街を見渡す小高い丘の上にありました。ここもまた昨日のWildnis Park同様、「市営」というから驚きです。

市内には他にも数カ所の拠点があり、市内の幼児から高校生まで、年間850クラスを受け入れているんだとか。市営なのでプログラム利用料も無料!4月に年間予約を開始するとすぐに1年分の予約がいっぱいになるほどの人気の場所なんだそうです。

古い農家を市が買い取りリフォームして作ったビジターセンターには、展示室やワークショップ空間、キッチンや薪ストーブが、一つの大きな空間に無駄なく配置されていました。また道具倉庫もこれまたキレイに整備されていて、初めて来た私でもどこに何があるか、何をしまえば良いかが分かるようになっていました。

実はこのNaturSchule、昨年日独シンポジウムに来てくれたHausDesWaldesのディレクター、ライヒレさんが「ぜひ行った方がいいよ〜」と紹介してくれた場所。ヨーロッパの森林教育関係者の集会 ” European Forest Pedagogics Congress”(https://www.smy.fi/en/teach-learn/forest-pedagogics-congress/)がきっかけで、ライヒレさんとここのスタッフとが一緒にプロジェクトを運営したことがあるんだそうです。

今回お世話になったシャンタックさんは生物学者としてアルプスの山の中で動物の調査をしていたのがきっかけで自然と人とつなぐ仕事をしようと決意し現職につかれたそうです。彼女はスイスで森林教育の本を出版しているほどの大ベテラン。近々英語版も出版されるとのことでとっても楽しみです。

今回の訪問者は地元の小学3年生のクラス20名。3日間のプログラムのうちの2日目で、テーマは「木」について。シャンタックさんは、学校ごとに先生と個々に相談しながらプログラムや進め方を決めているんだそうです

朝9時に来た子供たちが先生と一緒に姿を見せるや否や、シャンタックさんはキツツキの鳴き真似を口笛で再現。すると森の奥のキツツキがそれに反応するのを聞いて子供達はすっかり釘付け!さすがベテラン。。。

そして獲物を探すキツネのように5感を働かせながらそろりそろりと森の中に入っていきます。こうしてプログラムはストーリーのように始まりました。

感性を使って木を観察するアクティビティや、木の棒で枝を叩いて音の違いを楽しむアティックなプログラム、それから木の大きさを測ったり、樹皮を比較したり、生きてる木と死んだ木を比較したり、体を使って競争するようなゲームをやったり、森の中で気になる何かを探してみたり、そしてマインドフルネスな時間。。。

「森や木」をテーマにしていながらも多種多様なアプローチで子供たちを森とつなげるきっかけを次々と展開していました。

午前中のプログラムが終わり、森の中で薪になる木を拾いながらセンターに戻り、皆で焚き火に点火。蝋燭を巻いた紐を積み上げた薪の山に差し込んで、みんなで一斉に点火。昼食は、各自が持参したソーセージやパン、サラミ、マシュマロをヘーゼルナッツの枝に刺して焚き火の周りで焼き焼き大会。なんともワイルドで楽しい昼食です。

昼食の後は、まずは自由時間。1時間ほど子供達は森の中で自由に遊びます。プログラムだけで進めるのではなく、こうした時間がとっても大切なんだそうです。その重要性は、子供達の顔を見れば分かります。

その後も、集めて来た丸太を2人挽きのノコギリで切ってクラフトをしたり、木の年輪を観察したり。。

最後は、輪になってふりかえり、木の根っこを手に持ち回しながら一人づつ気づいたことを共有しました。のこぎりでの体験や、木の調査などリアルな体験からの気づきや学びについてコメントしてくれた子供たちが多く見受けられました。

今回の見学で印象的だったのが、焚き火をみんなでつけるためのロウソクを作ったり、使った分だけの薪を拾ったりして、「次にここを使う人」のための準備をしておいてあげる作業も意識的に盛り込まれていました。「次の人のことを考えて行動する。ペイ・フォワード(pay forward)。持続可能な社会ってそういうことでしょ!」とのこと。

そして自由時間や、子供たちに道具やきっかけだけ提供して自由に森を調査、探索して「自分が気になること」「知りたいこと」からテーマを拾い上げて学びを促していく「アクティブラーニング」な学びの時間を用意するなど、「子供中心」でモチベーションを高めながらリアルな学びへとつなげていく姿は、引率している先生にも良い学びになったのではないかと思います。

 

シャンタックさん、ありがとうございました。そしてつないでくださったライヒレさんと、連れて来てくださったフックス教授にも感謝!別れ際にシャンタックさんが「今度は1週間くらい来てしっかり見ていきなさいね!」ですって。はいはい、いつか学生を連れてお邪魔したいと思います。プログラム交換やアイデア交換ができたら面白いですね。

今日もまた色々学ばせてもらいました。いよいよ明日からはドイツです。

なんちゃって先生 萩原ナバ裕作

 

 

 

 


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