活動報告
2018年04月25日(水)

ドイツ報告第一弾「ドイツ森林環境教育施設の視察報告」

 将来建設される「森林総合教育センター」、その森林と人をつなぐ建物を設計するためドイツを訪問してきた木造建築専攻の松井匠先生が、連携しているロッテンブルク大学の協力を得て視察した、ドイツの森林環境教育施設びついての視察報告をしました。

 

 ドイツで視察した森林教育施設はシュタットヴァルトハウス(StadtwaldHaus)、フライブルグの森の家(WALDHAUS FREIBURG)、フェルドベルグの自然の家(Haus der Natur)、ハウス・デス・バルデス(Haus des Walds)、VHKエコステーション(VHK Oekostation)の5施設です。

 

 ここでは、フライブルグの森の家、フェルドベルグの自然の家、ハウス・デス・バルデス、VHKエコステーションについての一部を紹介します。

 

 フライブルグの森の家は、「一般の人に森林への理解を広げるため」にできた施設で、年間プログラム75コース、大人向けのイベントが多い、学校の長期期間中は子供向け、そのほかに学校用に16コースあり、中にはボート制作 1グループ849€もある。他には野草でパン作り 1グループ28€、世界の樹種を知ろう 1人3.5€がある。

 展示は小規模であるが、 フライブルグ市にある工場からの税収を補助金にしてこの施設を創設。工場建設による環境破壊と、本施設の運用による環境意識向上をトレードする意味がある。 コンソーシアムを設立し財団法人化
財団法人の所有施設となっている。 コンソーシアムには、森林局長、森林組合会長が含まれている。運営は 16人体制(常駐8人)。

 

 

 

 フェルドベルグの自然の家は、なんとスキー場にある森林環境教育施設で、スキー場の収入を施設運営に充てている。施設の大きさは1559.34㎡(ショップ・展示室含む)で、入場料:大人4€、子供2.5€、施説運営は財団法人(企業からの協賛金有)。

 

 ここでは年間プログラム数:143コース、観光地であるため週末開催が多い。定期的に常設展示のツアーを実施しており、レンジャーによるFeldbergツアーは無料、薬草を知る 1人20€、スノーシューズツアー 1家族50€です。

 

 

 高性能林業機械「ハーベスタ」を操作して伐採を擬似体験するゲームもある。こうした林業機械をゲーム感覚で操作するものは日本でも実施すべきと考えます。

 

 この施設は自然保護が命題となっている。展示とプログラムによって来館者に学習させる野が目的で、 案内するレンジャーにはユーモアが必要!参加者が「笑う」ことが非常に大切と力説。

  ここは 州内最大の自然保護地域で、スキー場やハイキングコース、スポーツ施設で収入を得て、「観光と自然保護」を行う。年間来場者100〜150万人。

 運営は 財団法人により、財団法人の会員には州、他の環境施設、フェルドベルグ村、黒い森クラブ、森林環境局、国立公園が入会しており、 費用の70%は州、30%は財団法人

 

 次にハウス・デス・バルデス、ここはバーデン=ヴュルテンベルク州が運営する無料の施設があり、展示棟の大きさは638.40㎡、事務所棟・セミナーハウスは942.42㎡ある。

 

 

 年間プログラム数は92コースあり、森林教育プログラムの他、観劇会やコンサートなども実施。学校向けのコースも提供している。アクテビティとしてはツリークライミング 1人20€、童話の語り部と林内を散歩 無料(寄付歓迎)、キャンプファイヤーで朝食 1人8€。

 ライヒレ館長はフォレスターでもある。付随する50ヘクタールの「学びの森」の一部がハウスデスバルデス。

  普通やってはいけないことだって、この森ならできる! 制限なしのプログラムだって展開する。 プログラムは森が主役。

  駅からゆっくり歩いて来るアプローチからすでに学びとなる。いろんなルートで森に入ることができる。ソフトとハードをシンクロさせる。講義と実習。プログラムと建物。 社会的な要求に合わせて形を変える展示やプログラム。

  子供も大人も楽しめる展示で、テーマとコンセプトはしっかり決めて展示と建物を調和させることが重要で、コンピュータをつかわず体験する展示が売り。

 

 

 最後はVHKエコステーション、ここは住宅街にある施設で、国・州からの補助金+プログラムによる収入で運営し、入場無料。面積は161.60㎡(事務所・セミナールーム)、138.24㎡(隣接の工作・調理室)、4500㎡(畑・庭)となっている。

 年間プログラム数:104コース(2〜9月分)、長期間にわたる庭造りコースも提供。平日開催のコースも多くある。地域の環境団体が共催のコースも多い。子供向けの小刀入門コース 1人18€、パパとパンを焼いてみよう 親子1人ずつで40€。

 この施設は市の建物を借りて生涯学習学校にしており、平日はほぼ毎日プログラムが動いている。建物はコンポストトイレと地域材による木構造で、工業地帯だったため土壌から全て交換した。エネルギー効率の高い設備を採用し、断熱材はセルロースファイバー。塗装は自然塗料。

 施設利用は延べ人数年間3000人、ち学生が半数。この施設だけなく他の施設と連携したプログラムも実施するが、運営は3人体制(常駐は2.5人)。

 

 

まとめとして

 ■プログラム・運用について(ソフト)
• 漠然と運用せず、テーマを定める「ここで何を実現するのか」
• 常に新しく更新していくことで、いきいきとした運用となる
• 悪天候を想定したスケジュール管理
• 来館者がお茶を飲めることは重要
• 新プログラム開発や展示にはコストがかかることを想定し、中長期的な魅力的な運用のための経営を考慮する

 ■建築について(ハード)
• 収納を広くとる
• 施設運用のテーマ(ソフト)を明確にし、建物(ハード)とシンクロさせることで、プログラムが豊かになり、人が集まる
• メンテナンス性を確保し、長期的なビジョンで設計する
• アカデミー内の他の建物との連携

 

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 


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