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2020年02月01日(土)

データからのモノ作り「デジタルファブリケーション」

3Dプリンタに代表されるよう、デジタルデータからのモノ作りが一般的になってきています。木工の分野においてもその流れは来ており、コンピューター制御によるNCマシンを使った成形や切削加工は普及の幅が年々広がっています。森林文化アカデミーでは、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の小林茂教授にご協力頂き、今年もデジタルデータからのモノ作り(デジタルファブリケーション)の入門編を実施しました。

小林茂先生のレクチャー

授業の冒頭は小林先生からデジタルファブリケーションの昨今の潮流や木工分野における導入事例などを紹介して頂きました。今回、講義に参加した学生は木工、建築、環境教育と幅が広く、学生からも様々な質問が活発に出てきました。特に卒業控えた2年生からは自身の進路でどのような活用ができるか興味深く話を聞いていました。

レーザー加工機

講義の後は、いよいよ製作実習です。実習にあたってはIAMASのイノベーション工房で技術指導されている伊澤さんから操作方法を教えて頂きました。今回体験するのはレーザー加工機による彫刻と切断加工です。まずはデモ加工を見せて頂き、データの作成方法や基本的なレーザー加工機の使用方法を体験しました。

最初は慣れない作業に学生も戸惑い気味ですが、データ作成から加工、作品完成までのサイクルがとても速いため、数時間の実習でもトライ・エラーの繰り返しができます。

基本的な加工機の使い方を体験したら、今度はアイデアスケッチを描いて作る物を考えます。技術的に難しい部分は伊澤さんにヒントやアドバイスをもらいながら進めます。既存のオープンソース(ネット上から得られる加工データ)を活用したりもしながら、1日目の実習が終わるころにはなかなかに凝った作品ができていました。

アイデアスケッチ

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実習2日目は「木+異素材を使った作品」というテーマで製作を進めます。材料はアカデミーで準備し、データはあらかじめ伊澤さんに送って確認してもらっていたため、この日は朝からサクサクと加工を進めていきます。実際に加工をしてみると思ってもいなかったような抜け落ちもあったりしますが、そこはすぐさまデータを修正していきます。

使った素材はアクリル、皮、紐や金具などなど。
普段は木以外のものは既製品で対応することが多いですが、今回は異素材もレーザーを使って加工することができます。色々試すうちにこんなこともできるのでは?というアイデアがどんどん膨らむため、今回も実習時間の最後まで加工作業に打ち込んでいました。

デジタルファブリケーション2020メガネ

今年からはアカデミーにもレーザー加工機が導入されたことにより、翌日からさっそくレーザーを使って製作に取り組んでいる学生も見られました。今回の実習はデジタルファブリケーションの導入編として、とても有意義な体験ができたと思います。日常的にレーザーを使える環境もできた事ですし、今後も積極的に活用してもらえたらと思います。

木工専攻 講師
前野 健