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2018年06月15日(金)

ぬり方いろいろ、ぬるモノいろいろ「木材塗装(応用)」その1

今年も木工専攻2年生を対象に木材塗装(応用)の授業が始まりました。この授業では1年次に体験した漆塗りをより実践的な内容で体験したり、スプレー塗装といった新しい塗り方にもチャレンジします。木に塗装する塗料の種類や塗装の方法はたくさんありますが、それぞれの仕上がりの違いを知れば作品の幅がいっそう広がります。「塗装の違い」は作り手の個性を出すテクニックにもなるんです。

木のおもちゃのスプレー塗装

今回使用しているのは小型のエアブラシと呼ばれるタイプのスプレーです。スプレー塗装は凹凸面をムラなくきれいに濡れる特徴があります。また、エアブラシであれば独自に色や塗料を調合することで、オリジナルの塗料を吹き付け塗装することができます。

塗装というのは奥が深く、同じ塗料を使っていても塗り方が異なれば仕上がりも全く違う作品が完成します。今回は厚塗りをせず重ね塗りを繰り返すことで、色ムラの無い塗装面を作っています。本来、木は繊維方向によって塗料の吸い込み方が大きく異なります。そのため、全体を均一な色合いで仕上げることがとても困難な素材なんです。

今回の実践では、木地の仕上げも丁寧に行うことで塗装面の違い。製品時のクオリティの差なども体験してもらいました。

マスキング塗装

マスキングすることで色の塗り分けができるのもスプレーの特徴です。

クレパスと蜜蝋を使った着色

スプレー塗装の乾燥待ちの時間を使って、今度は別の塗り方も試します。
上の写真は杉の木地にクレパスと蜜蝋を使って着色をしてみました。心材の色が赤黒い杉は鮮やかに着色するのが難しい素材です。それでも色の組み合わせによってはっきりとした色合いで着色することができます。

木固め塗装

他にもプレポリマーを用いた木固め塗装も行いました。こちらは着色塗料ではありませんが、水にぬれる食器などハードに使う木製品の下地作りに優れた性能を持つ塗料です。

これから2年生は商品化や講座の実践など、様々な場面で木の塗装に向き合う場面が出てきます。その時に自分が思う性能であったり、仕上がりであったりを実現できるスキルを身に付けておけると良いですね。

木工専攻 講師:前野 健