活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2026年10月26日(月)

【morivis活用vol.4】ドイツの地形・地質を見る①

森林文化アカデミーでは、ドイツBW州にあるロッテンブルグ林業大学と連携しており、毎年サマーセミナーなどで学生同士が交流しています。サマーセミナーやドイツ視察では、森林を案内されることが多く、地質と合わせて植生を説明されることが多いのですが、ドイツの地形・地質はいったいどうなっているのでしょうか?

 

演習林GIS「morivis」を使ってみてみましょう!

 

まず全体の地形を眺めてみましょう。こちら標高データを元にした陰影起伏図です。ドイツの北部は平坦で、中部、南部は凸凹していることが分かります。

黒枠で囲ったところがドイツ、南部2州(左がバーデン=ヴュルテンベルク州、右がバイエルン州)も併せて黒枠で囲っています。

 

同じ縮尺で日本を眺めてみると…

この縮尺でも四国、近畿、中部につながる中央構造線をはっきり確認することが出来ます。

 

こんな感じで凸凹が際立っています。やはりドイツでは日本と比較して山地の起伏が少ないのが分かります。一部ドイツ南部のオーストリア国境がアルプスの一部になっているため、そのあたりには標高2000~3000mのエリアが広がっていますが、ドイツ全体では、標高1,000m以下の土地がほとんどです。

 

ロッテンブルグ大学があるバーデン=ヴュルテンベルク州(BW州)を拡大してみましょう。赤色が州境になります。赤い楕円で囲ったところが、ドイツトウヒで有名なシュバルバルト(黒い森)と呼ばれる地域です。 ドイツでも数少ない山岳地帯になります。標高は最大でも1,500m程度しかありませんが、ドイツの国土のほとんどが平坦地ですので、起伏が際立って見えます。このBW州の西側はフランスと接しており、国境には有名なライン川が流れています。

 

ライン川は国境に沿って南から北に向かって流れており、その周囲は平坦な地形になっています。その低地の両サイドには、東にシュバルツバルト、西にフランスのヴォージュ山脈が広がっています。3Dで確認するとこんな感じになります。ライン川周辺は東西20~30kmにわたって広大な低地になっており、ドイツ側には環境都市で有名なフライブルグ、フランス側にはEU欧州議会の本会議場があるストラスブールがあります。

 

3D表示なのですが、あまりにもライン側沿いの低地の幅が広いのと、両サイドの山地も2000mを超えるような高い標高ではないので、あまり3Dに見えません。

 

同じ縮尺で長野県の伊那谷を見てみました。長野県の伊那地方に行くと、南北に天竜川が流れており、河川の両サイドは緩やかな扇状地の地形が広がっているため、川の両サイドの低地と、さらに低地を挟み込む山地というライン川と同じような構図の地形ですが、伊那谷と比較するとライン川沿いに広がる低地の幅の広さが際立っています。

 

ちなみに天竜川沿いの低地は扇状地なので、ライン川沿いの低地とは成因がまったく異なっています。

 

実はライン川とシュバルツバルトの山地は、アルプスの造山運動によりヨーロッパ大陸が押されたことにより、大きな溝と溝の形成によって持ち上げられた山地(シュバルツバルト)となったものです。ライン川沿いに広がる20~30kmの低地はライン地帯帯と呼ばれ、南はスイス、北はフランクフルト近くまで南北300kmにわたり、大きな低地を形成しています。

 

スイス、オーストリアに広がるアルプスも含めて地形を確認してみると、アルプスには、日本における中央構造線のように東西にたくさんの亀裂が走り、地殻変動の激しさを見ることができます。その激しい地殻変動の影響を受けて、シュバルツバルトの山地が形成されたのです。

 

今回は「morivis」を使ってドイツ全体の地形を陰影起伏で見てみました。特にドイツ林業を語るためには欠かせないシュバルツバルトの地形も確認してみました。さらにここから地質を含めて見ていきたいところですが、次回にしたいと思います。

 

林業専攻 杉本