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2025年10月27日(月)

地域を捉える視点を磨く(ソーシャルデザイン第1回目)

<2025.10.21> 森林環境教育専攻1年生「ソーシャルデザイン」の第1回目を実施しました。
森林文化アカデミーが深く関わる、山村や中山間地域を広い視野で捉えるための科目です。アカデミーでは卒業後に地域に関わる活動をする人が多いので、自分の知識や価値観に囚われすぎず、多角的な視点をもって、地域と関わる姿勢を持ってほしいと願っています。

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第1回目は、フィールドワークから。今回の目的である「明宝歴史民俗資料館」(郡上市)は、城下町である郡上八幡の上流にあります。地理や歴史的背景など様々な”つながり”を意識しながら、まずは川下に位置する「まち」を”感じて”いきます。

郡上八幡では、自分で気になるものを写真に収めながらまちあるき。3人の学生は建物の景観や、民家の軒先に飾られた川柳、水路など、それぞれに興味を持っていました。郡上八幡は歴史に加え、水利用や住む方が文化を楽しむ意識などが合わさり、美しい街並みを形成しています。短い時間でしたが、直感で捉えた様々な視点を合わせることでも、まちの背景が見えてきました。

郡上八幡から吉田川を上り、午後からは「明宝歴史民俗資料館」へ。この資料館の特徴は、約4万8千点という膨大なこの地域で実際に使われていた民具の収蔵量。そしてなにより、それを実際に使っていた世代の方々から直接お話を伺えることです。

今回のテーマは、ひとつの民具から、その地域(明宝)の里山の風景を捉えるためのヒアリングを行うこと。収蔵されている民具は昭和40年代以前のものがほとんどで、農山村の生活と風景が大きく変わる「戦後の拡大造林」や「燃料革命」以前のものです。

学生は一人ひとり、資料館の中で気になる民具を見つけます。特に農業や林業の道具からは、当時の生活、そしてそこにつながる里山の姿を思い描くことができます。

当時の里山の風景はどんな姿だったのか? ーー 私たちが正しくその姿を捉えるには、当時の生活を知る、地元の方々のご協力が必要です。

今回お話を伺ったのは、末武東(すえたけ・あずま)さんと細川清光(ほそかわ・きよみつ)さん。学生が気になる民具から、様々なお話をしてくださいました。

炭焼きの道具を説明する末武東さん(写真右)

熱心な学生のみなさん。山のことや川のこと、農や食のこと、炭焼きや当時の暮らしなど、およそ3時間にわたり、ほぼノンストップでお二人からたくさんのお話をいただきました。

家の周りで使う道具を紹介する細川清光さん

1日の最後に、テーマにする民具を決めてこの日は終了。これから、展示解説に使うパネルの制作にとりかかります。一人ひとりが、民具からどんな里山の風景を描くのか、楽しみです。

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学生のみなさんが作成したパネルは、、11月2日(日)にJR岐阜駅前で行われる「ぎふ信長まつり〜岐阜市農業まつり」に、明宝歴史民俗資料館の分散展示として実際の民具と共に展示します。「杜の架け橋」(岐阜駅北口・2階)の森林文化アカデミーのブースに、ぜひお越しください!

(森林環境教育専攻 小林)