【授業報告】あさひ製材・西垣林業㈱豊田工場を見学しました
林業専攻・林業コースの授業「林業のための製材実習」にて、
愛知県内の製材工場2ヶ所(あさひ製材、西垣林業㈱豊田工場)を見学しました。
製材機は、帯鋸が1つの「シングルバンドソー」と2つの「ツインバンドソー」の2つに大別されます。
今回の見学では、これら製材機の違い、それぞれの特徴を学んでもらうのが主な目的です。
まずは豊田市(旧旭町)のあさひ製材を見学しました。
あさひ製材は、豊田市の中山間地域にある製材工場で、シングルバンドソーの製材機を有しています。
今回はこの授業のために、大径材(末口径56cm)の製材を実演してくれました。
製材作業は同社の富永工場長、解説は(一社)ウッディーラー豊田の樋口代表理事にしていただきました。
・・・10名に満たない学生のために、このような貴重な機会を作ってくださりました。頭が下がります。
シングルバンドソーはツインバンドソーに比べて効率性は劣るものの、こうした大径材における柔軟な木取りに対応できます。
今回は、役物の板、それと特注の1辺400cmの正角材(400角)を製材しました。板材、角材共に「無節材」です。役物ゆえに、製材機の“ツメ”(鎹(かすがい))はあえて動かさずに製材をしていました。
この無節の400角は「大径材」の有効活用を模索する中で、ウッディ―ラー豊田が考えた商品なのだそうです。
「大径材の有効活用」は、日本の木材産業が抱える課題です。
見学を通じて、こうした課題も感じ取ってもらえれば幸いです。
続いて、西垣林業㈱豊田工場を見学しました。
こちらは年間45,000㎥(2022年度)もの原木を受け入れる大規模工場になります。
まず、同社の藤本工場長補佐より、工場の概要、設立の背景について説明をしていただきました。
その後、広大な敷地をくまなく見学しました。
工場の選木機では、径級はもちろん、末口・元口の判別も行っています。
原木の受け入れの際には「スギ、ヒノキと長さ(3m、4m)」だけ分けていればいいそうで、
元口、末口を揃えて入荷しなくてもいいとのことです。
また、豊田森林組合などの原木供給側とは月に1回、需給をすり合わせる打ち合わせをおこなっているそうです。
製材品だけでなく、低質材・端材からチップも生産(15,000㎥(2022年度))しています。
同社のメインの製材ラインはツインバンドソーになります。
年間30,000㎥(2022年度)もの製材を行うそうです。
最適な木取りを自動で判断します。
製材についても、作業員の方は近くにおらず、完全に自動化されています。
シングルバンドソーと比較して、ツインバンドソーがいかに効率が良いかを体感できたのではないかと思います。
(もっとも、「大径材」については、シングルバンドソーの製材機を使用したり、あさひ製材に外注することで対応しているそうです。)
乾燥設備も見学しました。
高温対応、中高温対応の乾燥機が計7基設置されていました。
見学後の質疑応答では、藤本工場長補佐のほか、同社の原木(=川上)担当の大塚役員、建築(=川下)担当の立松企画営業チーム長にも対応していただき、学生からの疑問に丁寧に答えていただきました。
一連の見学で、製材機工場にもいろいろなタイプがあること、また、原木がどのように流通しているかを体感してもらえたのではないかと思っています。
最後になりますが、ご多忙の中、今回の見学に対応して頂いた両工場の皆様に、心からの感謝を申し上げます。
講師 石原 亘