岐阜県銘木協同組合の見学
8月1日に岐阜県銘木協同組合(岐阜市茶屋新田)で開かれた市を見学してきました。
今回はクリエーター科1年の有志3人(木造建築・林業専攻)で行きました。木造建築専攻の石原亘先生にもご同行いただきました。
岐阜銘協は、国内外から銘木が集まり、取扱量、品質ともに全国屈指の組合だそうです。こんなすごい組合が岐阜県にあるとは。誇らしい気持ちになりました。また、「銘木とは何か」ですが、明確な定義はなく、組合のホームページによると【木材の中でも、高樹齢・大径木・長径木など、それ自体に希少価値のあるものや、希少な杢があるもの(ケヤキの玉杢・トチの縮み杢など…)、樹種を問わず、天然の美しさをもったもの】を指すそうです。
原木市は午前8時30分から始まっていて、到着した時には終わっていたのですが、出品された原木を見ることができました。実物を目の前にして、ただただその大きさと存在感に圧倒されました。原木に樹種名、末口の直径や木の長さ(高さ)などが書かれた紙が貼り付けてあり、末口が200㎝超のものがゴロゴロあって、290㎝というような木もありました。年輪の細かさなどもじっくりと見ることができました。ケヤキとトチノキの取引が多いため、こうした樹種についてはあえて樹種名は明記されていませんでした。駐車場には京都ナンバーなど他県ナンバーも目立ち、全国から買い付けに来ていることがわかりました。
写真1 この日、出品された銘木の一部。大きさにただただ圧倒されました。
写真2 1本1本、末口の直径や木の長さ(高さ)などが書かれていました。
原木市は見逃しましたが、製品市の競りは見ることができました。一枚板を中心に製品がずらりと並んでいました。樹種によって色合いや木目も違って、見ていて全く飽きることがありません。競り子と呼ばれる人の独特の掛け声が印象的でした。5千円や1万円という価格帯で取引される板もあって、学生同士で「思ったより安い!」と顔を見合わせていました。石原先生からも、原木や製品がどれくらいの価格で取引されているかという相場感を持つことが大切だと教わりました。
写真3 製品市に出品された一枚板。
その後、倉庫内を一巡しました。とにかく広い、天井が高い!7mという長物と言われる長い板もいくつか見ました。また樹種では、イタヤカエデの模様がかっこよかったのと、キハダやミズメの色合いが渋くて魅せられました。心材と辺材の色の違いが味わい深く、ため息が出るほど美しかったです。写真を撮りまくりました。鳥類の眼の形のような円形状の独特の杢目もたくさん見ました。針葉樹のコーナーもありました。とても惹かれたのが天絞(てんしぼ)と呼ばれる天然出絞丸太です。表面に縦のしわがたくさん入っていて、ごつごつとした感じがなんとも美しくて最高でした。
写真4 長物と言われる長さ7mにもなる一枚板。
写真5 同じ樹種でも切る場所によってこれほど表情が違う。
写真6、写真7 独特の杢が美しくて、ずっと眺めていられます。
写真8 キハダ(左側)の色合いがなかなかオシャレでかっこいい
写真9 美しさに見惚れていました
写真10 木のごつごつとした感じがたまらない天然出絞丸太
午後からは一枚板の製品などを手がけている板蔵ファクトリー(瑞穂市)にお邪魔しました。同社営業担当の奥村洋代さんに2階のギャラリーなどをご案内いただきました。同社では7千枚ほどの一枚板の在庫があるそうです。
写真11 一枚板のテーブルが並ぶギャラリー
写真12 一部樹脂を使って加工された一枚板。樹脂の透明感と木の風合いが対照的でおしゃれです。
写真13 さまざまな樹種の板が並びます。
同社は原木の仕入れから製材、乾燥、加工、塗装まで全て手掛けているのが強みだそうです。また、デザイナーと連携してブランディングを強化することにも重点を置いています。美しい一枚板にさらに付加価値をつけているのは職人の方達による高い加工技術だそうです。熟練の職人さんたちが働く現場も見せていただきました。
突板(つきいた)という製品があることを初めて知りました。突板は薄くスライスした木を合板などに貼り付けたもので、反りや割れが起きにくい上に木の風合いや木目を生かすことができるという利点があるそうです。ドアや壁など見える部分に使うそうです。
同社では一枚板という製品にとどまらず、「住空間の提案」を重視しているところがとても興味深かったです。
写真14、15 一枚板とともに家具なども並べ、住空間を提案しているギャラリー
ほかにも、海外からの引き合いが強いということもお聞きできました。日本のように広葉樹の樹種が豊富なのは海外の人からするとかなり珍しいようです。
奥村さんが最後におっしゃっていた「銘木の世界は他にはない世界」という言葉が印象に残りました。
「どれが良いというよりもどれも良い!」見る側の目や美意識が問われるのが銘木の世界なんだなーと板を眺めながらしみじみ考えました。答えのないところが奥深いです。
一枚板をとことん眺めることができてとても贅沢な一日でした!!11月の原木市は1年で最も大規模と聞き、すでに待ちきれない思いです。
クリエーター科 林業専攻1年 五十嵐妙予