ICT技術と捕獲対策を知る:CR1森林獣害の基礎
クリエーター科科目「森林獣害の基礎」今回はアカデミーとも連携協定を結んでおり「里山千年構想」に於いて積極的な獣害対策に取り組んでいる美濃加茂市へお邪魔しました。
今回も学生が当日の様子を記録してくれましたのでご覧ください。
↓ ↓ ↓ ↓
美濃加茂市では平成27年から里山の風景を残すための「里山千年構想」を掲げて「里山の整備」「里山の活用」「里山の資源の活用」の活動をしています。今回は美濃加茂市役所の農林課の皆さまからお話を伺いました。
「里山の整備」では鳥獣害対策に力を入れており、シカやイノシシ対策のネット柵を設置して、動物たちが人の住む地域へ侵入することを妨げたり、人里と森林の間である緩衝帯の整備もしています。また、猟友会による有害鳥獣の捕獲や追い払うためのパトロールも積極的に行っているとの事でした。
里山の獣害対策として整備した場所を教育の場として活用し、自然の中で遊ぶところから、森林の役割や恩恵まで、大人も子どもも関わることができることも持続可能な政策だと思いました。
お話を聞いた後、猟友会会長でもある横家さんの案内で獣害対策場所を実際に見せていただきました。
田んぼと山林の間に設置された「害獣忌避装置」は「キューン」という音と動物が嫌がる超音波でイノシシやシカが近づかないようにする装置です。シカの通り道に設置していて、最近は動物の足跡が見られなくなったそうです。
次は、総延長約20㎞のネット柵は、高さ2m程の金属パイプの支柱に金属ワイヤー入りのネットが張られています。イノシシがくぐらないようにひざ丈ぐらいまでネットが重ねて張られています。それでもイノシシがネットを噛み切ってしまったり、穴を掘ってくぐったり、また、シカが飛び越えようとして支柱を倒したりすることもあるそうです。
次に案内していただけたのはICTわな。捕獲檻にカメラをつけて、動物が檻に入ったらメールで知らせてくれるシステムです。リアルタイムの映像を見ることができ、動物が檻に入ったタイミングで遠隔操作によって扉を閉めることもできます。捕獲檻が設置されている場所が民家のすぐ近くだったので驚きました。
野生動物から人や作物を守るために、まずは動物たちが近づかないような対策をすること。そして動物の数を減らすために捕獲することが必要なのだと知りました。ICTを取り入れて捕獲する人の負担を軽減することも獣害対策を継続するために大事なことだと思いました。
午後からは実際に捕獲の際に使用する猟具について説明して頂きました。
美濃加茂市は特に、猪による被害が多いと言うことで、主に猪や鹿の捕獲に使用する、くくり罠の設置方法について学びました。
各人、実際に罠に触れてみて、仕組みや設置方法を学びました。
特に農業や林業などの第一次産業に大きく被害を及ぼす、猪や鹿ですが、捕獲に際しては、むやみに怪我をさせないように捕獲することがないよう定められています。
罠の設置に当たり、獣を必要以上に傷つけない安全装置が確実に作動するかどうかを確認することや、設置後は見回りをしっかりと行い、捕獲獣を早期に発見することなどを教えて頂きました。
設置方法を学んだ後は、山の中に移動して、実際に罠を設置してみました。
現場には、猪や鹿が通ったとみられる獣道が多くあり、各人、獣の移動経路や獣の心理を考え、設置場所を選定しました。
より捕獲精度が上がるように、獣の習性等について指導して頂きました。
最後は、自分たちが設置した罠をしっかり回収し、授業を終了しました。
今回、森林獣害の授業を受けて、里山の暮らしと獣害対策は切っても切れないものだと改めて感じました。
しかし過疎化や高齢化により、その獣害対策を担う人々も少なくなってきており、技術者を増やしていくことが大切だと思いました。
私たちの社会の根幹を支える第一次産業従事者が多く暮らす、里山での暮らしを維持していくためにも、獣害対策に関心を持ち、積極的にわな猟免許等の資格を取得していこうと思いました。
前半:Cr1佐藤直美
後半:Cr1吉田大記
ご協力いただきました美濃加茂市農林課里山再生係の皆さま
誠にありがとうございました!
編集:新津裕(YUTA)