【‘25夏 木工事例調査⑥】株式会社 高峰楽器製作所
中津川市を訪問して行った木工事例調査。2日目にギターメーカーとして知られている株式会社 高峰楽器製作所を見学に行きました。その時の様子を学生がレポートで紹介します。
・・・・・
木工事例調査の2日目の午前中、檜創建の見学を終えた私たちは、株式会社 高峰楽器製作所を訪問しました。総務経理部/生産管理部 部長の玉谷正幸さまのご案内のもと、充実した工場見学がスタートしました。
タカミネ(TAKAMINE)は、日本の岐阜県中津川市にルーツを持つギターブランドです。その歴史は1950年代、同地に開かれた小さな弦楽器工房に始まり、1962年に「高峰楽器製作所」として社名を正式に定めました。
ブランド名「タカミネ」は、工房の近くにそびえる「高峰山(たかみねやま)」にちなんで名付けられたもので、ギターのヘッド部分の形状もこの高峰山をモチーフにデザインされているとのことです。
1979年には、独自技術を駆使して日本初の本格的なエレクトリック・アコースティック・ギター(エレアコ)を開発・発売。従来のアコースティックギターの「共鳴による振動」をピックアップ装置で電気信号に変換し、アンプを通して音を拡張するという画期的な仕組みで、特に大規模な音楽フェスティバルやライブ演奏において重要な演奏スタイルを築きました。
今回の見学では、タカミネのギターがどのようにして生み出されるのか、その製作工程を間近で見学することができました。ボディトップなどに使用される木材には、スプルース(マツ科の針葉樹)をはじめ、マホガニー、サペリ、メイプル、ローズウッドといった広葉樹も使用されています。中でもスプルースは日本名で「トウヒ(唐檜)」と呼ばれ、直線的な柾目を活かすために比較的大径の材が必要とされ、現在は主に輸入材が使われているとのことでした。
ちなみに、世界最古の木として知られるのも、スウェーデンのフルフジェーレット国立公園に生育するオウシュウトウヒ(スプルース)であり、推定樹齢はなんと9,566年にもなるそうです。また、かつて世界最大の航空機として知られたH-4(通称:スプルース・グース)にもスプルース材が用いられていたとのことで、スプルースの持つ軽さと強度のバランスがいかに優れているかがうかがえます。
工場内では、職人の手による木材の曲げ加工、塗装、研磨など、丁寧かつ緻密な作業風景を間近で見ることができ、その技術の高さに感動しました。
工場の見学の後、「試奏してみませんか?」とご提案を頂き、木工専攻の橘さんと若田さんがタカミネのギターを試奏をしました。美しい音色と卓越した演奏に参加者一同聞き惚れました。
あっという間の見学でしたが、たくさんの学びと気づきがありました。玉谷正幸さま、そして高峰楽器製作所の皆さま、本当にありがとうございました。
クリエーター科
木造建築専攻2年 銭 鼎琨