林業事例調査2025(1)赤沢自然休養林視察(2025/7/21)
クリエーター科の林業専攻では「林業事例調査」という授業があり、毎年、林業専攻の先生・学生で、各地の様々な森林や森林組合、林業事業体などを訪問しています。2025年は長野県、静岡県を事例地とし、二泊三日で見学してきました。今回は、初日に訪問した長野県は木曽の赤沢自然休養林について報告します。
木曽は天然木曽ヒノキの有名地で、江戸時代には城下町の発展に伴って大量の木が伐採され、山は荒れ、木は少なくなってしまっていたそうです。これを危惧した尾張藩はおふれを出して木曽の山の木を守り、今日の豊かな森林が蘇りました。赤沢は1970年に全国初の自然休養林に指定され、森林浴発祥の地としても知られています。
現地に到着後、まずは観察するコースの確認を行いました。今回は、①上赤沢コース→②冷沢コース→③ふれあいの道→④向山コースのルートで散策します。
上赤沢コースは多様な樹種が観察できるコースで、普段アカデミー周辺では見られない草本や広葉樹があり、学生は先生の説明に熱心に聞き入っていました。
冷沢コースとの合流地点である椹窪で良い時間となりましたので昼食休憩をとりました。休憩の後は、少しコースを外れてヒノキの大樹を見に行きました。かつて神宮備林として管理していた時代に、直径60cm以上で形質優良な木曽ヒノキを「大樹」と呼び管理していたそうです。
今回、全コースを徒歩としたため利用しませんでしたが、赤沢森林鉄道も見所の1つです。かつて木曽地域で林業が盛んだった時代に運材、住民の足として活躍し親しまれていましたが、やがて木材の輸送手段は鉄道からトラックとなり、1975年にその役目を終えたそうです。現在は来園者の林内移動の足として活躍しています。
散策後半の見どころは御神木伐採跡地です。伊勢神宮の御神体を安置する特別な木を御樋代木と呼び、欠点がなく真っ直ぐで太く立派な材質の木であることが求められるそうです。ここには、昭和60年に「三ツ紐伐り」と呼ばれる方法で伐採された切り株が祀られており、全員神妙な面持ちで観察していました。
今回、日本三大美林の赤沢に訪問できたこと、ヒノキやサワラの大木を観察できたことに学生全員が満足な様子でした。また、アカデミー周辺では見られない珍しい植物を観察できたことも大変良い勉強になりました。
以上、林業専攻1年 毛利 剛が報告しました。
(林業専攻教員 津田)