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2025年04月23日(水)

高度な架線技術を持つ人材を育成します

木材生産は伐倒~集材~造材~運搬と複数のプロセスを経て、立木から丸太になって市場へと運ばれて行きます。

日本の森林は平坦なところは少なく、急傾斜地が多いのですが、この複数のプロセスの中で、もっと傾斜の影響を受けるのが集材作業です。

 

先日アカデミーの演習林内で架設したタワーヤーダの搬器です。傾斜が急な場所では、このように架線系の機械を使って木材の搬出を行います。

 

 

木材生産システムは車両系と架線系の大きく2つに大別され、さらに集材距離に応じて

 

道から約100m以内 スイングヤーダ

道から約100m~約500m タワーヤーダ、自走式搬器

道から約500m以上 集材機

 

という方法に分けられます。地域によって大きな差があり、ほぼ車両系による木材生産のみの地域もありますが、岐阜県は傾斜が急峻な地域が多く、架線系による搬出が不可欠です。

 

この架線系ですが、2つの課題があり、

 

◆架線集材ができる技術者の確保

◆索張りが容易で生産性の高い欧州式などの架線技術の導入

 

が求められています。そこでアカデミーでは高度架線技術者カリキュラムを新設し、欧州式のタワーヤーダなど新たな架線技術にも対応できる人材を育成します。

 

アカデミーで学べる架線技術は下記の通りです。

欧州式タワーヤーダ

アカデミーでは、欧州式搬器を搭載したタワーヤーダを導入しています。高性能な搬器を搭載しており、従来の集材機と比較して架設する線の数を減らすことが出来ます。

トラクタ搭載型のタワーヤーダです。タワーヤーダの特徴は、集材機と比較して索張りが容易なこと。主索の張り上げ、作業索の架設を少ない手間で実施できます。

自走式搬器

タワーヤーダと組み合わせたり、単独で使用するなどして集材作業を行います。機種によって索張り方法は異なりますが、日本で発売されている機種は主索と走行索を組み合わせて使います。

写真の機種は古い自走式搬器ですが、今年度、新しい自動走行機能付きの自走式搬器を新たに導入しました。

 

スイングヤーダ

簡易架線に分類され、索張りも最も容易です。

高性能林業機械を運転する資格を取得しよう7(スイングヤーダ現場架設編)

 

集材機

架線系の中でも最もトラディショナルな機械です。従来からある架線技術ですが、油圧型集材機など新たな集材機が登場しています。架設、撤収、設計作業は従来と変わりませんが、架線作業の中でも最難関の技術が必要で、技術者も少なくなっています。アカデミーではこの従来型の基本となる索張りもしっかり学びます。

演習林に据え付けられた集材機です。毎年、場所を変えながら架設撤去を行います。

こちらダブルエンドレス方式で用いるアベックキャレジです。この他にもコレクター方式など、様々な索張り方法を架設することができます。

 

アカデミー演習林をフィールドに、これらの幅広い架線技術をトータルで学ぶことができるカリキュラムになります。架線の設計、荷重計算や、ワイヤスプライスなどベースとなる基本技術を学び、いろいろな索張りを実際に演習林で設置することで学んでいきます。

 

林業専攻 杉本