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2018年08月13日(月)

木造建築病理学に基づく詳細調査

本巣市で、木造建築病理学に基づく詳細調査を行いました。

木造建築専攻1年生4人、2年生3人、教員の辻、山県市の住宅医の方、総勢9名で本巣市の築50年ほどの住まいに伺いました。

調査するのは、①劣化診断、②耐震診断、③温熱診断、④省エネ診断、⑤バリアフリー診断、⑥防耐火診断の6つの項目です。

3人づつ室内班、床下班、小屋裏班の3つの班に分かれて、調査開始です。

まずは、全員で、全体概要をつかむために、家の内外をぐるっと見て回ります。

私は床下班、まずは、進入口の確保です。住まい手の話でもこれまで床下を見たことがないとのことで、点検口など見当たらず、畳下の板をはがしていきます。全員自力建設の経験者。バールの扱いはお手の物です。

進入口が開きましたが、床下の高さが厳しい。大引と地面の間が20cm程度。さすがに入っていきません。

この進入口や外部の換気口から覗き込む形で、床下の点検をしていきます。床下は乾燥していて、大きな腐朽、シロアリの形跡は見つけられませんでした。

また、矩計図を描くために、断面詳細を取っていきます。無筋のコンクリート基礎(鉄筋探査機で確認)に敷き土台があり、その上に・・・といった形で、図面化していきます。こういった調査では、いろいろ細部を見るため非常に勉強になります。

室内班も同時進行中です。こちらは、住宅医の方がリーダーで指示していきます。

まずは、私が事前調査をした際にサッと書いた平面図のチェックです。こういった真壁(柱、梁が見えている構造)は、比較的平面図がとりやすいのですが、やはり、細部でいろいろ違いが出ていました。

同時に、住まい手の方に建物の履歴や光熱費などのインタビューも行います。改修要望も伺い、計画の参考にしていきます。

バリアフリーチェックのため、開口巾や段差、部屋の大きさ、手摺など、いろいろ確認します。チェックリストを作成しているので、採寸忘れや写真の撮り忘れも極力なくしています。

慣れたもので、てきぱきと進んでいきました。

3つ目の小屋裏班は、2年生の坂田君がリーダー。何度か詳細調査に立ち会った経験で進めます。

小屋裏では、雨漏りや構造のチェックが重要になります。大きな損傷もなく健全な環境でした。

残るは、構造関係。小原先生から、指導を受けた学生が、常時微動測定機やシュミットハンマー等を使用して、数値でいろいろ計測していきます。

調査は順調に進み3時頃には概ね終了。片付け、掃除をみんなで行い、記念写真です。今回は360°カメラで撮影。

これから、一カ月ほどかけて、これらの調査データをまとめていきます。

准教授 辻充孝