活動報告
2018年04月11日(水)

大好評!グリーンウッドワークOne Tree講座(前半)

3月17〜21日の5日間、アメリカのジャロッド・ダールさんを迎えて「One Tree 〜1本の木から」という講座を開催しました。その名の通り、1本の木からグリーンウッドワークの手法でさまざまな暮らしの道具を作ってみようというものです。たくさんの応募者の中から、北は北海道から南は福岡まで12人の方にご参加いただきました。

ジャロッドさんはアメリカのウィスコンシン州在住で、祖父がスウェーデンからの移民です。これまでアメリカ原住民やスウェーデンの民衆による木工を研究、実践してきました。アメリカやヨーロッパ各国でグリーンウッドワークの講座を開いています。日本は今回が初めての訪問です。

スウェーデンの木工は、特にナイフを巧みに使うことで知られます。ナイフワークの練習を兼ねて、最初の制作物は「お箸」。アメリカ人の講師がスウェーデンの技法で日本人にお箸作りを教える、というのが何ともグローバル。日本人なら鉋でまっすぐに削ってしまうところを、全てナイフ1本で削るのです。

日本でも木工に小刀は使いますが、極めて限られた使い方しかしていないのではないでしょうか。鉛筆を削る時のような、片手で柄を握り、もう一方の親指で小刀の峰を押す使い方です。しかしジャロッドさんが教える使い方は10種類以上にのぼります。例えば下の写真のように、手のひらを上にして握り、スライスするように押しながら削ったり・・・

下の写真のように胸元で材料を押さえ、奥から手前の方に向けて引きながら削ったりします。材料の持ち方、刃の動かし方に工夫が凝らされていて、荒削りから細かい仕上げ削りまで、ナイフ1本で安全にできてしまいます。今までグリーンウッドワークでは「削り馬」という道具を使ってきましたが、このナイフワークを覚えると体で材料を固定できるので道具も少なくて済み、ぐっと自由度が増します。

こんなお箸ができあがりました。

 

2日目の制作物は「シュリンクポット」。これは日本では馴染みのないものですが、生木で作る容器です。直径の小さい丸太の真ん中にドリルで穴を開け、外側と内側を削って筒状にして、乾いた板で作った底板をはめておきます。生木の筒が縮むと底板を締め付けて、ぴったりと隙間がなくなります。小物や食品などを入れるのに使われたそうです。写真右側の四角い箱も丸太から削り出したもので、聖書を入れるケースなのだとか。左の筒の蓋ははめ込み式、右の箱の蓋はスライド式です。

直径10センチほどのホオノキの真ん中に手回しドリルで穴を開け、これまたナイフ1本でグイグイと穴を大きくしていきます。外側はナイフや南京鉋で削って整えます。

底板がはまる溝も、下の写真のようにナイフで削ります。

できあがった筒の形に合わせて乾燥した板を削り、底から叩いてはめていきます。底板は乾いているのでこれ以上縮みませんが筒は縮むので、はめた当初は隙間があっても、その後ぴったり隙間なく締まるのです。

日本では「竹」という優れた素材があるために、このような木工技法はあまり発展しませんでした。しかし身近な森の資源を生かす手法として、面白い制作アイテムだと思います。

 

ジャロッドさんの妻ジャズミンさんは、ヤマザクラの樹皮を剥がしてナイフの鞘づくりを教えてくれました。(今回はジャロッドさんがどんな講座をするのか詳しく分からなかったため、ホオノキのほかにヤマザクラも1本準備しておいたのです)

慣れると20〜30分ほどでできてしまいます。下の写真の手前は、カバの樹皮を針葉樹の根で編んだ物。奥は、今回ヤマザクラの樹皮で作ったものです。

これは受講生にも大人気でした。日本でも桜の皮を使った「樺細工」と呼ばれる工芸品があるほか、曲げわっぱの端を編んで留めるのにも桜の皮が用いられるので、見たことがある人は多いはず。でもこんなに簡単にはがして使えるんだよ、と教えてもらうことで、ぐっと距離が縮まる感じがします。家でも試してみたいとみんなが樹皮を剥がして持って帰ったので、5日間の講座が終わった後のヤマザクラの丸太は少し寒そうでした(笑)。

 

後半に続きます。

久津輪 雅


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