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2019年04月19日(金)

三ツ緒伐り見学 IN中津川市

中津川市と森林文化アカデミーは今年4月10日に連携協定を締結し、森林・林業・木材産業の分野で連携し協力することになりました。

初回の活動として紹介するのは、中津川市農林部林業振興課のご協力で、「裏木曽三ツ緒伐り保存会(会長 早川正人)」による大径木の「三ツ緒伐り」という伝統的伐採技術を見学しました。

「三ツ緒伐り」とは、ヨキと呼ばれる手斧で、幹の3方向から木を彫って行き3カ所の伐り残し(ツル)を作りながら木の底をくり抜き伐倒する方法で、材の割れを防ぎ、狙った場所に正確に倒すことができる伝統的伐倒技法です。この伝統技法は、伊勢神宮で20年に一度ある式年遷宮の御用材を伐採する際に用いられることでも有名です。

今回は、中津川市川上の市有林で根元直径50cm程のヒノキ大径木を2本伐倒する様子を見せていただきました。

参加したのは、クリエーター科の林業専攻とエンジニア科林業コースの学生ら20名です。

先ずは、作業員全員でリスクアセスメントを実施し、「貫通間近で木屑を掻き出す時、相手のヨキが手に当たる」リスクを把握し、頻度や程度も高いと評価し「声掛けで作業を止めながら協力し作業する」で低減対策し許容できるといった具合に話合がされていました。安全管理技術として、大変参考になるものでした。

伐木作業は2人1組で行われ、時には力強く、時には繊細に左右器用にヨキの振りを使い分けながら、慎重に作業が進められました。

伐木の年輪は細かく、数えられただけでも110年はありました。

通常はチェーンソーで伐倒するのですが、この作業はヨキを幹に打ち込み、刃を入れて、刻んでいくことを何度も繰り返して、少しずつ木を壊しながら彫っていくので幾筋の刃跡が残っています。

伐倒作業中は危険が伴うため、トラロープの退避場所に出て見学しましたが、作業を途中で止めていただき、このような作業過程を近くで見学できるよう配慮いただきました。

伐倒後には、畏敬の念とともに、伐倒した立木を大切に利用することや森の恵みへの感謝を込めて、伐根に倒した立木の梢を差す儀式「鳥総立て(とぶさたて)」が行われました。

今後、本校でも建材として利用するため末口30cmの木材を演習林から伐り出す計画があります。今回の学びはこれからの授業に大いに活かすことができる内容ではないか感じました。

この機会を提供いただきました裏木曽三ツ緒伐り保存会の皆様と中津川市職員の皆様とに感謝申し上げます。

教員 池戸秀隆