活動報告
2020年03月11日(水)

大断面集成材の登り梁(morinos建築秘話6)

morinosの木材活用事例。丸太樹皮付き方立床材に続き、今回は大断面集成材です。

morinosの大きな無柱内部空間を支える大きな登り梁。(下の写真)

大きな??登り梁。上の写真でもわかりにくいし、実際に入ってみても、それほど大きく見えないと思います。実はここもいろいろ工夫を施しています。

 

morinosの南北スパン(上の写真の左右の室内幅)は7m。木造建築では工夫しないとこれだけの長さを柱なしで造ることはできません。

アカデミー本校舎でも、樹状立体トラスや、合成梁、ボックス梁、平行弦トラスなど様々な工夫で大空間を実現しています。これらは、全て製材したままの材を接合部や力の流れの工夫で実現したものです。

ではmorinosは、というと奇をてらわず一般的に最も良く用いられる大空間を構成する必要断面を確保できる集成材で実現しました。しかも現場までの運搬経路などを鑑み、大断面、長尺材です。

これでアカデミー敷地内で、いろいろな木材を使った大空間構成の事例が見れます。

実際に使用した材は、150mm巾、450mm成、13mの長さの巨大な岐阜県産ヒノキの集成材です。

納品された際に材料検査に行きましたが巨大です。とても一人では持ち上がりません。

集成材とは、ラミナ(板状に製材したもの)を平行に接着したものです。

今回は岐阜県産ヒノキ150mm巾、30mm厚のラミナを15層重ねて450mmにしています。長さ方向はフィンガージョイントと呼ばれる加工を施し接着して長さを確保しています。(北面の柱も150mm×300mmの集成材で、近くで見える箇所がありますので接着層を見てください)

接着には屋外にも出る部分があり、品質実績十分の常温硬化型のレゾルシノール樹脂接着剤を用いています。黒褐色のため接着層に黒いラインが出てしまうのが気になりますが、登り梁は高い位置に用いるためそれほど気になりません。

集成材の長所は、製材品ではなかなか取れないような大断面がつくれ、ラミナ段階でしっかり乾燥し、強度や割れ、大きな節などの品質検査をするので性能のバラつきが少なく安定した製品が得られることです。

逆に短所は、欠点材の発生や切削時の歩留まり低下が起こり、接着工程などで生産性が落ちること。(高価になりがち)接着剤にも注意していますが、少ないながらもホルムアルデヒドを含むVOCが発生することが挙げられます。

今回は、必要な個所を絞って用いることでこの短所を減らしています。morinosではこの大きな登り梁6本で屋根を支えます。

実際の工事中の現場写真です。450mm成の梁の存在感があります。

この大きさが天井に見えてくると、上部が重たく見え不安定感が出てしまいます。

そこで、梁成をあまり出さず薄く見せつつも、大きな梁で支えられている安心感や存在感も出したい、、、と矛盾するデザインをどう処理するかで悩みました。

そこで考えたのが、450mm成の中に母屋を掛け、断熱層を取り、さらに登り梁の間に天井を張ることで天井から下の梁の見えがかりを少なくしました。(見えがかり140mm)

さらに、大きな梁のサイドにスリットをあけ、天井より上まで梁が存在する微妙な陰影をつけました。これにより梁の大きさが感じられる納まりになっています。(スリット内部まで見あげると300mm程度)

梁横のスリット巾をどの程度あけるかも3Dパースでいろいろな角度からの見え方を熟考し75mm巾と決めました。

梁の存在感を消しつつも大きさが感じられるように、うまくいっているでしょうか?

准教授 辻 充孝


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