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2016年11月12日(土)

伊吹山の薬草文化を伝え、新たな商品化に取り組む

 

揖斐川町春日地区の古屋集落と旧笹又集落は、古くから「採薬の村」と呼ばれてきました。水田ができない両集落では、炭焼き・茶栽培によって現金収入を得て米を買っていましたが、伊吹山の豊かな植物相の恵みである薬草を採取して売る「採薬師」という生業がありました。

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伊吹山は岐阜県と滋賀県の県境にそびえ(標高1377m)古くから「薬草の宝庫」として知られています。その背景として、西日本と東日本、太平洋側と日本海側の植生分布の境界に位置するため生物多様性に富んでいること(「伊吹山固有種」が多く見られます)、加えて16世紀に織田信長がポルトガル人宣教師に命じてヨーロッパから3000種の薬草を持ち込ませて薬草園を作ったたという伝承があり、薬草利用の文化が現代まで引き継がれていることがあります。

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 そんな興味深い集落をクリエーター科「森林空間利用プログラムと事業化」の授業で訪ね、薬草文化の伝統と新たな商品化の取り組みについて学びました。

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最初にお訪ねしたのは、明治~大正期に「薬問屋」として活躍した小寺甚五郎氏の末裔である小寺Aさん。家屋は当時の趣そのままに、庭先には(初冬の気候で種類は少なかったものの)トウキ、ゲンノショウコなどの薬草が栽培されていました。Aさんからは、昔の春日村の厳しい食料事情と、子どもの頃に見聞した炭焼き・薬草販売の思い出をお聞きしました。

 

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次にお訪ねしたのは、小寺KさんTさんご夫妻。かつて笹又集落があった中筋あたりの畑の小屋で私たちを迎えてくださり、笹又特産のイモ類(石灰岩質の土壌のため味がよいと評判)をふるまって頂きました。ともに80才を超えてお元気で、今でも下の集落から毎日畑に来ているそうです。付き添ってくださったご長女のHさんも「この景色こそが私のふるさと」だと語っていました。

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最後にお訪ねしたのは、笹又耕地の最上部で「信長の薬草園再生プロジェクト」に取り組む小寺Hさん。イブキオオヨモギ、オウレン、センキュウ、センブリ、ゲンノショウコ等の伊吹山特産の薬草を集めた畑の復活を目指し、主宰するNPOではヨモギの入浴剤や食品用パウダーの商品化を大学や企業と連携して進めておられます。

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民間療法として使われてきた薬草ですが、現在は薬事法による規制で薬効や「○○に効く」といった表現を謳うことは禁止されています。医薬部外品の申請・許可にも多額の費用がかかるようです。そのため健康食品や「和ハーブ」といった新ジャンルの中で、薬草文化の伝統を継承しようと努力されています。今後も応援していきたいと思います。

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担当 嵯峨創平(揖斐川町駐在)

 


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