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2024年01月30日(火)

未来の森づくりプロジェクト 「コシアブラの森づくり」スタートします!

開学20周年を機にスタートした未来の森づくりプロジェクト!これまでも先輩方が議論と調査を重ねて少しずつ進めてきましたが、今年から具体的に大きく動き始めましたのでここに報告します。

まずは未来の森づくりのコンセプトを振り返ってみます。構想のコンセプトは、以下のようになっていました。

・「記念として10年後、20年後に残せるものを!」という発想からスタート
・演習林の一区画を選定、今の資源を活かしつつ持続的に利活用可能な森林に
・多様な環境を維持し、グリーンインフラとしても機能する森林づくり
・利活用の仕組みも含め、モデル林として機能する森林を目標

 

このようなコンセプトのもと、アカデミーの演習林の一区画(1ha弱の広さ)をどうデザインするか、林業専攻が主体となって議論してきました。その結果、「森林文化展示」「コシアブラの森づくり」「広葉樹の森づくり」「精密林業」という4つのプロジェクトを立て、それぞれで検討し立案した計画に沿って動き始めることになりました。

ここでは現在施業を行いはじめている「コシアブラの森づくり」について、その目標と内容をご紹介したいと思います。

「コシアブラの森づくり」では、「スギ人工林を長伐期多間伐の思想で管理して年輪のつまった良質な大径木を育て、樹下ではコシアブラが継続的に収穫できるような、木材生産をしながら山菜も楽しめる森を目指す」ことを目標としました。

コシアブラはウコギ科の樹木で、新芽が美味しく、春の山菜として人気となっています。

コシアブラ山菜写真

コシアブラの新芽(山菜)

今回、このコシアブラを増やすべく、「コシアブラの森づくり」を計画しているのは、未来の森づくり区画内にある「約50年生のスギの人工林」です。その中に約0.09ha(30m×30m)の広さの試験地を設定し、計画しました。部分的に湿地があったり、倒木により生じたギャップがあったりするなど環境条件の違いはありますが、全体的に間伐が遅れており、林床に十分な光が届いていない状況です。

湿地エリアの写真

湿地エリア

ギャップ写真

部分的に開けたギャップ

常緑樹の多い場所の写真

下層を常緑樹で覆われている暗いエリア

こういった現状の森林を将来「コシアブラの森」にするために、以下のような管理を考えています。

コシアブラの森の管理の図

目指す「コシアブラの森」とその管理

コシアブラは相対照度10%以上の光があれば成長できるとされているので、混み合っているスギの間伐や下層の常緑樹の除伐を行い、林床に光が届くようにします。
さらにコシアブラの稚樹の植栽や母樹からの天然更新などにより、コシアブラの個体数を増やすことも試みる予定です。
年数が経つと上層のスギの樹冠が塞がってくるので、そのタイミングで上層木の間伐を繰り返し、継続的にコシアブラが林床で育つ環境を保ち続けたいと考えています。
また、間伐したスギは、他専攻の人たちとともに学内で利用していきます。

 

今回のプロジェクトを通して、次のような効果が得られると考えています。

・スギ人工林の長伐期多間伐施業の考え方を学び実践できる。

・人工栽培事例の少ないコシアブラの栽培方法を検証できる。

・間伐や除伐による森林の変化を観察できる。

・自分たちで伐った間伐材を木材として利用する経験ができる。

・コシアブラという山菜の女王を楽しめる森林空間を作ることができる。

 

私は、コシアブラの山菜が大好きです。
将来的には、この未来の森でコシアブラの山菜採りのイベントなどが開催できればいいなと夢見ています。
自分が在学中には食べられるだけのコシアブラは収穫できないでしょうが、後輩たちに管理を引き継いでもらい、5年後に帰ってきた時にこの森でコシアブラが採れることを楽しみにしています!

(Cr林業専攻1年 小林建太)