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2023年08月05日(土)

林業事例調査2023(4)宮川森林組合さま視察(2023/7/25AM)

林業事例調査3日目の午前は、三重県大台町にある宮川森林組合さんを訪問しました。

宮川森林組合

宮川森林組合さんの事務所

宮川森林組合さんは、「地域性苗木を使用した、多様な樹種による森づくり」に取り組まれており、全国的にみても特異な森づくりに挑戦されているとのことで、今回の事例調査でぜひ現地で学ばせていただきたく、訪問させていただきました。

地域性苗木とは、植樹する地域の近くで採取された種から作られた苗木のことです。大台町では、地元の生産者さん達による「大台町苗木生産協議会」を結成し、地域をあげて苗木生産に取り組んでおられます。

まず最初に見学させていただいたのは、大台町苗木生産協議会の天野会長の苗場です。

苗場の写真

地域性苗木の苗場

こちらの苗場では、約90種類の広葉樹の苗を育てておられ、圧巻でした。
ここでは大台町のさまざまな場所から採取した種子を地域ごとに区別して育てられているそうです。播種から発芽に至るお話や夏場は毎日2回ずつ水やりもされておられることなどをお伺いし、地域性苗木への愛着がご説明の中から強く感じられました。
また、やはり協議会のメンバーとして苗木生産に携わっているアカデミー卒業生の方にも苗場でお会いでき、先生との久しぶりの再会に盛り上がっておられました。私たち学生としても、卒業生さんのお話を聞くことができて、貴重な時間となりました。

 

次に見学させていただいたのが、16年前に地域性苗木を山に植林された現場です。
こちらでは、自然配植の考え方で、50年後〜100年後の林層や樹冠を考えて、様々な樹種を混植されておりました。

植栽現場の写真

自然配植技術で地域性苗木を植林した山

また、特徴的だったのが、全面に均一に植林されているわけではなく、パッチ状に植林されていることです。ここ大台町も他の地域と同様にシカの食害が問題となっているそうですが、シカ被害防止のフェンスも全面を覆うのではなく、植林した小面積をパッチ状にフェンスで囲うという方法(パッチディフェンス)をされていました。これ以外にも樹種の特性を活かした様々な工夫を説明していただき、大変勉強になりました。

 

最後に、広葉樹の多面的活用をされている加工場を見学しました。こちらでは、クロモジやタムシバなどのアロマを加工されており、部屋中がいい匂いで包まれていました。

加工場の写真

アロマオイルを製造されている加工場

抽出の写真

クロモジから抽出されたアロマオイル

その他にも燻製チップなども作られており、広葉樹をただ植えて終わりではなく、その活用まで展開されており、まさしく川上から川下まで手がける宮川森林組合さんの取り組みに、とても多くのことを学ばせていただきました。

森林の多面的機能の発揮に取り組まれている事例を学ぶことができ、自分の卒業後の取り組みの可能性のヒントを沢山いただきました。ありがとうございました。(林業専攻1年 小林建太)