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2016年11月22日(火)

エンジニア科1年「特用林産物」〜森づくりとものづくりのつながりを学ぶ

11月21日、エンジニア科1年生たちと美濃市瓢ヶ岳(ふくべがたけ)で、エゴノキの更新状況の調査とマーキング作業を行いました。
この森では4年前から、日本中の和傘づくりに欠かせない「傘ロクロ」という部品用のエゴノキを収穫しています(エゴノキプロジェクト)。和傘の生産を続けるためには、今年は最低でも250本のエゴノキを収穫する必要があります。

胸元まであるササをかき分け、林内へ。和傘部品に適した直径4〜5センチのエゴノキにピンクのテープを巻いていきます。4センチに満たないものは、青のテープを巻きます。11月26日に行われるエゴノキプロジェクトで、参加者に伐採してもらうための目印です。

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エゴノキが密集して育つエリアは約3haあるのですが、過去4年にわたって収穫しているため、だいぶん本数が減りました。生えている場所も、より林道から離れた作業しづらい場所になりました。それでもピンクのテープ約400本、青のテープ約100本を確認できました。なんとか来年ぐらいまではこの森で収穫を続けられるかも知れません。

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持続可能な収穫のためには、更新が必要です。過去に伐採した切り株からは、脇から盛んに芽を出したものが確認できます(萌芽更新)。こうして出た沢山の脇芽が、競うように光を求めて上へ伸びていってくれれば、真っ直ぐで工芸用に適した木が収穫できます。

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しかし、大半の脇芽はシカやカモシカに食われ、枯死していました。この森で持続的に収穫することは、現状では難しい状況です。

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実はこの実習に先立ち、エンジニア科の学生たちは岐阜市の和傘工場を見学しています。里山の森に手を入れ、育てながら利用していくことと、日本を代表する伝統工芸が結びついていることを知ってほしいためです。岐阜市では日本全体の9割近くの和傘が生産されています。

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日本に1軒しかない傘ロクロの工場では、エゴノキが実際に傘ロクロに加工されるまでを見せていただきました。この工場では戦前からの古い機械を使い続けていましたが、今後も和傘づくりを支えるために新型の機械を導入したばかりです。あっという間に傘ロクロに姿を変える様に、感嘆の声があがります。

これから社会に出る学生たちには、林業に携わることがさまざまな産業に携わる人を支えていることを、心に留めておいてほしいです(きっと留めておいてくれるでしょう)。

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文:久津輪 雅