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2023年07月19日(水)

新科目スタート「セルフデザインとファシリテーション」

森林文化アカデミーのクリエーター科では、2年次に自身の目標や目的を主軸にした「課題研究」が大きなテーマになります。入学時に強い想いを持っている学生の皆さんも、多様で様々な学びをするうちに興味ややりたいことが広がり、本当に実現したいことが段々わからなくなる・・・ということがよくあります。私自身もそうでした。

それは社会生活の中でも起こることです。そんなとき「自分は何者か」、そして「自分は何を達成したいのか」を、常に自覚していくことが大切になります。社会人が多く入学するクリエーター科ですが、せっかく「学生」になったので、入学時に自分自身を今一度見つめ直し、自分の現在地を自分で、そして互いに確認しあえる視点と”仲間”を持ってもらえるといいな・・・と思っていました。

そこで昨年までの「ファシリテーション実習」をリニューアルして、今年から新しく「セルフデザインとファシリテーション」として新たに開講しました。選択科目ですが、初回となる今年、クリエーター科1年生 10名、2年生6名が参加してくれました。

 


 

昨年の経験から「ファシリテーション」を本格的に勉強するには、授業時間(8コマ・15時間)では足りないと考え、今年は「セルフデザイン・8:ファシリテーション・2」くらいの配分で授業を組み立てました。

特に学生同士の対話を重視し、「促す・引き出す」というファシリテーションの基礎部分は、少人数グループでの対話の中で意識してもらいました。

 

第1回目(4/26)は、
「自己紹介と他己紹介」

「自分のことを語る」こと、そして「相手のことを”聴く”」を繰り返し行っていきます。
4人のグループワークでは「オープンダイアログ」のエッセンスを入れた、「本人の目の前で、本人のコトを語り合う」という試みも行いました。

 

第2回目(5/2)は、
「マイプロシートと対話型ファシリテーション」

ファシリテーションの概要、ワールドカフェの体験、ファシリテーション・グラフィックの練習を行った後、前回宿題に出した「マイプロシート」を基に、前回より深く自己紹介をしていきます。

特にファシリテーション・グラフィックによる話し手の「自分ヒストリー」は、とても興味深い作品が多数できていました。

 

第3回目(5/25)は、
Beの肩書とグループファシリテーション

宿題で、「偏愛マップ」を書いてきてもらいました。元「greenz.jp 」編集長の兼松佳宏さんの
「「BEの肩書き」ワークショップのひらき方<I am(○○なわたし)編>」
を参考に、Beの肩書ワークショップを行いました。150分という長丁場なので大丈夫か、という心配をよそに、学生同士のディスカッションは、最後まで対話が弾んでいました。

当日生まれたBeの肩書には
<豊かな知識と集中力を操る スローライフの翻訳家>
など、とてもクリエイティブなものが多数生まれていました!


最後は、できた肩書をメッセージカードに書いてお互いに贈り合う

 

第4回目(6/5)は、
SDGs地方創生カードゲーム

前回の最後に希望をとって、最終回は「SDGs 地方創生カードゲーム」の体験。今年取得した公認ファシリテーターの、初実践の場をみなさんがつくってくれました。

目的は「デザインされたワークショッププログラムの体験」です。アカデミー生のみなさんは在学中、そして卒業後も、自身の手がける事業の中で勉強会やワークショップなどを開催することが多いです。「SDGs 地方創生カードゲーム」は高度にデザインされたプログラムなので、プログラムデザインの参考にもなるといいな、と思います。

それと同時に、このカードゲームでは地域、特に地方における課題や人口減少などの問題について考えられるので、アカデミー生にはぜひ体験して欲しいと思っていました。今回は残念ながら参加人数が少なかったのですが、当日参加したみなさんは地域資源やコミュニケーションの重要性に気づきを得ていたようでした。

 


 

こうして、全4回の授業は終了しました。

手探りで授業を進めていきましたが、修了後のレポートでは、参加者全員が「ファシリテーション」、そして「セルフデザイン」がこれからも必要だ、と回答していました。

特に「セルフデザイン」については、
「今のみんなの状況と、これからはまた変化すると思うので、またやりたい」
という意見もありました。「自分を見つめ直す」のは、人生の中で何度も必要になります。

その時、自分自身をきちんと認識するのは、自分だけではなかなか難しい・・・と感じてくれたのではないでしょうか。アンケートでは、「これからもセルフデザインが必要になると思う」と回答した全員が、セルフデザインのためには、「時には他者が必要だ/他者が必要なときは自分も手伝いたい」と答えていました。

一方で、
「詰め込みすぎて、時間に追われている感があった」
「理解が追いつききれなかった」
「ファシリテーションの実践的な部分が少なかった」
という意見も。

初めての授業でしたが、私が一番勉強になりました。参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。よりよい内容を目指して、来年度にむけて更にバージョンアップしていきます!

<追記> 
私も「マイプロシート」と「Beの肩書」やりたいので、受講した皆さん、誰か手伝ってください(願)

森林環境教育専攻 准教授 小林謙一(こばけん)