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2018年07月24日(火)

7/27〜29弁当箱販売!『長良川(ながら)んちぼっくす』ができるまで④

長良川流域にちなんだものをテーマにしてデザインを考える今回の課題。

私は、アカデミーの所在地である美濃市の伝統工芸に着目しました。美濃市を代表する伝統工芸と言えば、美濃和紙があります。美濃和紙にちなんだデザインで、弁当箱に使えそうなモチーフはないかと考えているときに思い浮かんだのが、和紙漉きの舟と簀桁(すけた)でした。簀桁の持ち手の部分を蓋にして、舟の部分を弁当箱の本体にすればぴったりではないか!と思い、早速調べることに。

すると、興味深いことがわかりました。質の良い和紙として知られていた美濃和紙は、江戸時代、幕府で公的な場面等に使われていたそうです。江戸幕府が使う高級品として、美濃判と呼ばれるサイズが流通していたとのこと。そのサイズが由来となって、昭和に紙の規格を制定する際に、B判が決められたそうなのです。つまり私たちが今使っているB判のサイズは美濃和紙が起源であるといっても過言ではないのです。全国標準の由来がここ、美濃にあったとは驚きでした。そこから、お弁当箱のサイズは、美濃判が由来となっているB紙のサイズ、B6と決めました。

材料は、漉き舟ということから、和船や漉き舟で使われているコウヤマキを使うことにしました。コウヤマキはスギやヒノキと同じように針葉樹です。ヒノキとはまた違った、独特な香りがする木です。スギよりも少し硬いですが、でも硬すぎず、またやわらかい黄色い木肌は目にも優しい木目を見せてくれます。

 

コンセプト、材料が決まったら、いよいよ設計図の作成と試作です。何回もスケッチや設計、試作をやり直し、ついに案が決まりました。

 

しかし、本当の苦労はここから。実際に製作に入ると、なかなか思うように進みません。ちょっとしたミスで、部品にバリが出てしまい、駄目になってしまったり、簀桁(すけた)をイメージした部分の接合部がきつすぎて、蓋が想定以上に反ってしまったり。また、接合部が細かいため、塗装前の下地調整(紙やすりによる磨き)に想定以上の時間がかかってしまいました。さらに今回のお弁当箱作りで、学生が皆、同じ接着剤、塗料を使うことで、それらが無くなってしまい、製作終了日まで間に合わなくなってしまうという事態も、、。(実はまだ完成していません。)

そんな苦難を乗り越えながら、なんとか完成まで持っていきたいと思っています。
長良川流域にちなんだお弁当箱を販売するという今回の授業企画。それぞれが独自のアイディアで、長良川を連想させるお弁当箱を作っています。
ぜひ、お店に立ち寄って、見て、触って、感じていただければと思います。皆様のご来店を心よりお待ちしております。

 

若林知伸
(クリエーター科2年)

 

「長良川(ながら)んちぼっくす」展
2018年7月27日(金)〜29日(日)
11:00〜18:00
長良川てしごと町家CASA
500-8009 岐阜県岐阜市湊町29