2017年03月10日(金)
100年先の森林づくり公開セミナー
第2回『森林・木材利用の付加価値を高めるには』を開催

岐阜県と岐阜県フォレスター協会主催の公開セミナーを岐阜県立森林文化アカデミーのテクニカルセンターで開催しました。
講師はソマミチ代表の原 薫さん「木を使う社会の仕組みをつくる」と林材ライターの赤堀楠雄さん「山と木の価値を高める木材マーケティング」でした。

株式会社柳沢林業の代表取締役でもある原さんは、自らの豊富な経験から、伐った木を使っていない現実に直面したそうです。
「木」を活かす仕事から、「山」を活かす仕事への転換を図るべく、「ソマミチ」を立ち上げ、「木を使う社会の仕組みをつくるため、カラマツの外壁材の提案などもされています。とにかく、原さんの実績そのものが素晴らしい内容です。

話はたくさんありましたが、「ひとづくり」という項目では、人と人との関係づくりの重要性について語られました。
原さん自身の林業に対する基礎がしっかりしており、かつ歩んできた足跡が確実なものであるため、どれも納得のいくことばかり。

「山と馬」という項目では、山の恵みは「木」だけでない。・・・山菜もそう
高性能林業機械で搬出するのに比べると、馬搬は林地(山)に優しい。森林所有者によっては「山菜を採りたいので、馬搬でやってほしい」という人までいるとのこと。・・・こうした考えも納得。

さて、続いて赤堀さんが「山と木の価値を高める」ため、産地が優位に立つ条件などを解説。
木材の総合的な利用を実現できるような、経営力ある製材所が地元に有れば、副産物が稼げる原料となる(例えば発電用の原材料とか)。
並材だけでマーケットを維持するのではない。付加価値材でマーケットを充実させる。

吉野林業のことや、速水林業のこと、諸戸林友のことなど様々の実例を挙げて解説されました。
自伐林家として有名な愛媛の菊池林業さんの言葉、「植えて育てた世代に対する感謝の気持ちが無いなら、それは林業ではない」とする考え方の根底は何か。
速水林業さんでは8000本植栽して育てるのに400人工かかっていた作業を、価値は下げないで80人工に圧縮し、どう価値をつくるかを常に模索していることも紹介。

写真の目立つチェンソーウエアは岐阜県フォレスター協会の中谷会長と民間フォレスターの小森社長です。
原さんと赤堀さんのお二人方による講義を受けた後に、参加者からの質問も含めたクロストークです。

原さんからはソマミチが製材所と組んで提案する話。赤堀さんからは、長野県知事がお子さんとホームセンターに木材を買いに行ったら、「県産材は販売されていなかった」という話。
他にも原さんからは「自分の仕事が誰に喜んでもらえる内容なのかという疑問」、そうした考えから従業員のそうした欲求をどう満足させるのか。つまり仕事のやり甲斐が重要であること。女性の活用の場として、「暮らしとつなげる製品づくり」などを提案。

結局、仕事は人をどう利用するかではなく、どう一緒に働くかと考えることが重要で、その結果として林業に貢献できるような仕事につながるのだと感じたのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。