活動報告
2017年10月25日(水)

自伐林家のカリスマ、菊池俊一郎さん森林文化を語る

 みなさん、こんにちは、JIRIです。

 今回はクリエーター科の森林文化論に愛媛県西予市三瓶町から自伐林家として有名な菊池林業の菊池俊一郎さんをお招きして、『森林との共生と循環』と題してお話しして頂きました。

菊池さんは最初に森と共生し、多くの木造建築物を造り、維持してきた日本人について、法隆寺や姫路城、浮世絵などを題材に話され、日本の林業の歴史や日本三大美林、はげ山の変遷にもふれ、菊池さん自身が考える「森林文化」は『森林と共生し続けることだ』と話されました。

 

森林と共生し続けるためには「林業」を考える必要があり、そうした視点で見ると、「現代における林業はどうなのか」、「山林経営とは何か」についても深く掘り下げて離されました。

さて、メインの「自伐林家」について、持ち山で育林から伐採・搬出、出荷まで自力で行う林家で、委託型ではないため、木材の売り上げ代金が所有者の手元に残る。

自伐林家もそれなりに問題はある。

第一に自分の所有林を自分で実施し雇用が発生しないため、労働安全衛生法などの適用外である。つまり、グレーゾーンが増加して、「安全」が確保できない可能性がある。よって、例え自伐林家であっても、事業体に準ずる安全に対する構えは必要。

菊池さんも平成初期には地下足袋・作業服・野球帽での作業であったのが、現在はチェンソーブーツ・チェンソーパンツ・ヘルメットとなった。

結局、最も高いのは「自分自身」

10年前に使用していたのは、写真の10品目とやまびこ林内作業者。菊池さんは作業道をつけるときには3トンクラスのバックホウをレンタルして自分で操作し、プロセッサーのデモ機があれば乗りこなしますが、あえて過大な投資をしないだけです。

現在、自分に必要な道具は写真通りで、あまり変化していないが、ポイントは2つ。立木に装着するロープをスリングに代えることで残存木の損傷を軽減し、作業ロープを市販の不明瞭なものから海外で樹上作業専門に開発され、強度表示された安全なものに代えたこと。

スギ材1m3が8000円とすると、伐出の経費の内訳はどうなるのか。

それを真剣に考えることも重要。なぜなら林業経営だから。

スギで手取金額を比較してみると、

委託ならば、手元には100円しか返ってこない。単なる自伐なら3100円は返る。償還後であれば3800円が返ってくる。

少しでも高く木材を売るには、原木一本あたりの材積と価格(直・曲別)の相場表が必要だった。使いやすい相場表を作成し、造材時のポイントを整理することが重要。 ポイントは末口直径の設定と曲りの見極め。

菊池さんは年降水量1600mmの場所に約30haの山を所有し、そのうち2haほどで柑橘栽培、28haほどで林業(ヒノキ67%、スギ17%、その他16%)を営まれている。

収入全体は柑橘類が大きいが、菊池さん自身は「林業経営が本業で、柑橘栽培と樹上作業が副業である」と述べています。

しかし、愛媛といえば関アジ・関サバに代表される海の幸、そして全国屈指の温州ミカン生産地であり、「林業」は主産業ではない。つまり地元行政の支援を受けにくい立ち位置にあるのです。

「なぜ、柑橘栽培との兼業なのか」と聞かれれば、育林整備するための資金稼ぎのために兼業ともいえる。山は育てる時期、植林や下刈り、枝打ちの間はすべてが持ち出し経費となる。

では、なぜ補助金に頼らず、自己資金で実施するのか?

それは以前の補助金行政が面積要件で集約化したものに対し、所有森林ではそうした補助金を受ける要件を満たせなかった。また市町村合併する前の三瓶町には林業従事世帯が菊池家だけであり、なかなか行政の協力も得られなかった。

農家林家としての経営は、労働配分林業4.5:柑橘4.5:樹上作業1.0の比率となるが、収益配分林業1.5:柑橘6.0:樹上作業2.5である。

「ならば林業は儲からないのか」、今は育てている時期であるためで、素材性生産だけで特化すれば収益は底上げされる。

農家林家であれば、木材生産と柑橘収穫時期の分散も可能、災害や価格下落の分散も可能、農業収穫期以外にも収益があげられる。木材では年中収益があげられる可能性がある。

そもそも日本が手本にしているドイツを見れば、農業用トラクターの多用途化で林業が成り立っており、林業しやすい場所は森林所有者が、しにくい場所は委託のプロ集団が木材生産している。

経営上で重きを置いているのは、①徹底したコスト管理と無駄の排除、②機械の可能性の追求、である。

林業部門については①造材の徹底、②メンテナンスの徹底、③可能性の追求、④自分でできることは自分で実施することの徹底。

 

こうしてカリスマは生まれたのです。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 


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