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2019年10月03日(木)

第12回岐阜県地域森林監理士養成研修を開催しました

岐阜県地域森林監理士養成研修の第12回目となるマテリアル(エネルギー)の講義を開催しました。

 

本日は、日本の木質バイオマスの普及の歴史、今後について、全国で木質バイオマス事業に関われてこられた株式会社 バイオマスアグリゲーション 代表取締役 久木裕様にご講演いただきました。

 日本のバイオマスは、2002年12月の国が策定した「バイオマス総合戦略」からスタートし、しばらくは低迷していました。しかし、2012年から始まった再生可能エネルギーの固定買取制度(通称「FIT」)がスタートしてから、爆発的にバイオマス発電所が普及しています。国では600万m3のバイオマス利用を目論んでいましたが、2017年にはほぼ目標を達成し、日本でのバイオマス発電量はドイツを超えた状態となりました。

 当初は、国産の再生可能資源原料を活用し、エネルギー供給を行うことが狙いでしたが、日本におけるバイオマス発電の原料の大部分はPKS(ヤシガラ)、北米からのペレットになっているのが現状です。

 FIT制度は、発電所を増やすことのみが目的ではなく、建設された施設で地域内の再生可能な資源が有効活用されることが目的です。この制度により2Mw以下の小規模バイオマス発電の仕組みも創設されていますが、この発電において、欧州で最も普及している「ガス化発電システム」に関する説明、日本における「ガス化発電システム」の導入実績の説明がありました。この発電を整備した施設は、約10%ぐらいしか稼働していないことが紹介されました。

 現在、日本のバイオマス発電を行っている事業者の多くは、FITありきの期間限定発電ビジネスを考えており、山側もこれに依存しているのが現状であり、このようななかで、令和元年8月に国では「将来の安定電源としての再生可能エネルギー」「地域で活用する電力」(ただし、あいまい)という方向性が出されていることが紹介されました。このままだとFIT制度が終わったときの道筋を付けられていない状況にあるということも認識させられました。

 また、環境省では、木質バイオマスの熱利用を推進していること、ここ数年、バイオマスの熱利用のニーズが高まってきていることが説明され、特に欧州における熱エネルギー利用では、発生させる熱エネルギーをコントロールし、蓄熱技術等により発生させた熱エネルギーを有効に活用する工夫が進められていることが紹介され、日本ではそういった点が非常に遅れていることを理解することができました。

 これからは、単にバイオマス発電所を増やすだけの政策でなく、地域内にある再生可能な資源を活用し、地域のなかで効率的なエネルギー利用を行う仕組みづくりを作っていくことが重要であり、この仕組みを構築するための財源として「森林環境譲与税」を活用することもできるのではないかという提案もいただきました。

 続いて、お話があったのは、岐阜県林政部県産材流通課 兼定孝生技術課長補佐兼資源活用係長より「岐阜県における木質バイオマス利用の取組み」についてご講義いただきました。

 まず、平成24年度から平成28年度まで取り組まれた、第2期岐阜県森林づくり基本計画のなかで「木質バイオマスエネルギー」がどのような位置づけにあるのか についてお話がありました。

 第2期計画では、「木質バイオマスエネルギーへの転換プロジェクト」として取り組まれてきたこと、この計画のもとで、木質バイオマス利用量は平成28年度に目標量をはるかに超えた12万m3となっていること。さらに、平成26年12月、岐阜県瑞穂市内に県内初となる未利用木材を主たる燃料とする木質バイオマス発電施設((株)岐阜バイオマスパワー)が稼働開始したとの説明がありました。

 一方で、木質バイオマス燃料を低コストに安定供給していくための体制整備が遅れていることや、発電のみではエネルギー効率が低いため、中小規模の熱電併給型施設や熱供給型施設の導入を促進する必要があるという問題点にも触れられました。

 次に、平成29年度から平成33年度の計画として取り組まれている第3期岐阜県森林づくり基本計画についての説明がありました。第3期計画では、第2期計画の問題点から、「地域内循環」をキーワードとして、森林内に残された未利用材の有効利用・木質バイオマスエネルギー利用施設の整備等を地域ごとに進めることが必要であるとして、①未利用材の運搬支援、③中小規模の木質バイオマス利用施設の整備支援、②燃料製造施設の整備支援を地産池消型による活用プロジェクトとして位置づけ、取り組みを進めているとの説明がありました。 

 第3期計画を進める中で、県内各地域で、地産地消型の木質バイオマス利用施設の整備をいかに推進していくか、木質バイオマス発電施設の新規参入へどう対応するか、森林の伐採に伴い発生する未利用端材をどう有効利用するか、という課題があり、それに対する補助制度の説明もありました。受講生は特に、未利用端材の有効利用に関心を持ち、今後の活動に役立てたいと感じているようでした。


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