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2017年05月16日(火)

灰汁洗いの実力は?

「灰汁(あく)洗い」という言葉を聞かれたことはありますか。

建築されてから時間の経過とともに、木材は汚れやシミ、カビ、日焼けなど、表面が傷んできます。この汚れなどをきれいにを洗って、木材が持つ本来の美しさを取り戻す為の作業のことを灰汁洗いといいます。

近年では、手軽にできる薬剤が主流ですが、今回はエンジニア科の学生が「古式灰汁洗い」を研究したいということで、昔ながらの方法で、流れや効果の実験です。

東京で、灰汁洗いを実際に行われている職人さん指導のもと始めます。

まずは、藁を燃やして、灰ををつくるところからスタートです。出来上がった灰を水に入れて攪拌すると、アルカリ性に変化します。実際触ると、少しぬるぬるした石鹸のような手触りです。

このアルカリ水を使って洗っていきます。最後は、酸性の竹酢液を用いて中和させて仕上げていきます。洗う道具も、藁の穂先、シュロ、麻紐、竹等、その都度作っていきます。

米ぬか仕上げも行いました。米ぬかを手で刷り込んで、竹皮で磨いてつやを出していきます。

今回洗ったのは、第7期自力建設「地空楼」の移動式壁9枚です。

灰汁洗いに加えて、最近の薬剤や、単なる水洗いなど9種類です。

①オリジナルのまま
②水洗い
③中性洗剤洗い
④サンダー仕上げのみ
⑤苛性ソーダ洗い
⑥近年の薬品洗い
⑦灰汁洗い
⑧灰汁洗い+サンダー仕上げ
⑨灰汁洗い+サンダー+米ぬか仕上げ

細かな流れや変化は、学生がまとめて秋に発表予定ですので、楽しみにして下さい。

職人さん曰く、出来上がった直後は、薬品洗いとの差は少なめだが、時間がたつと、薬品の方は黒ずむのが早いとか・・・。

 

出来上がった9枚の壁板は「地空楼」に戻して、変化を観察します。(中央が未処理です。)

身近なところで、建築専攻の前のデッキで曝露試験を始めました。

ここでは古色仕上げも追加して、経年変化を確認していきます。
古式仕上げというのも面白く、アカデミーで拾ったどんぐりを煮出して、着色します。ゆるい油分があり、自然な仕上がりです。
古材を修復した際に、新しい木材で継ぐことがことがありますが、通常のオイルステインの塗料だと、色合わせしたときはいい感じでも、時間がたつと、オイルステイン部分は色変化が少なく、徐々に色がずれていってしまうとのこと。どんぐり染色は、古材と同じように自然に変化するのだとか。

右のサンプルの手前から、①未処理、②水洗いのみ、③古式灰汁洗い、④中性洗剤洗い、⑤薬品洗い、⑥古色仕上げ(ヒノキ)、⑦古色仕上げ(スギ)です。
右の2枚は色合わせのサンプルで手前が柿渋仕上げ、奥が焼杉仕上げです。

アカデミーに来られた際は、いつでも変化具合を確認できます(もうワンセットは室内保管)ので、時間の変化を楽しみにしてください。

准教授 辻充孝


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