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2016年06月20日(月)

ドイツ報告-06 第一回日独林業シンポジウム

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この内容について、柳沢先生がhttp://www.forest.ac.jp/academy-archives/h28japan_deutch_sympojium/で報告して下さっていますが、再度JIRIの視点で再度報告します。

シンポジウムは日独両国の林業振興と交流を目的とし、バーデンヴュルテンベルク州科学財団の助成を受けて開催されました。

全体はHein教授総合司会によってシンポジウムが進められました。

冒頭、ロッテブルク林業大学(以下、HFR)のバスティアン・カイザー学長、林野庁の本郷浩二森林整備部長、BW州の学術・研究・芸術省のハンス・ジョージ・ウルフ氏、鹿児島大学の寺岡行雄教授、ドイツ連邦食糧農業省のマティウス・シュベーラー欧州・国際森林政策部長より挨拶がありました。

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会場はドイツBW州のロッテンブルク林業単科大学の新築された機械庫で、この建物の壁も30cm以上の厚みがあり、断熱環境抜群です。

最初にドイツ連邦食糧農業省のマティウス・シュベーラー欧州・国際森林政策部長より「ドイツ林業」と題して、国土の約3割を占める森林(面積1100万ha)の森林率は、北部は少なく11%、南部は42%(BW州は38%で、そのうち50%は個人所有)。

ドイツでは2022年までに原子力発電所を全廃し、持続可能なエネルギーの割合を30%まで高めようとしている。現時点では持続可能エネルギは11%であるが、その70%が木質バイオマスに由来している。持続可能な森林経営の基準策定や違法伐採の点で日本との協力関係を重視したいと発表されました。

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そして林野庁の福田淳さんが「日本における新たな森林政策~持続可能な林業の成長産業化」と題して日本の森林の現況を紹介。林業の成長産業化に向けた木材需要の拡大と国産材の安定供給体制の構築について、また明治時代にドイツに留学した松のはざま、本多静六についても紹介。

福田さんはご自身がやられている深川新木場での「角乗」の事例もをもとに、日本の伝統文化も紹介されるほど、粋な発表をされました。

 

続いて、BW州地域・消費保護省のマックス・レーガー氏が「変革期にある森林産業:社会と環境の変化に対してどのように適応するか」と題し、BW州が2005年に森林管理に関する行政改革で森林管理局を県庁の一部に統合して人員削減したこと。

2013年12月に連邦カルテル省から、フォレスターの木材販売行為がカルテルの相当すると指摘され、国の関与が否定されたこと、などを紹介した。そして「林業の中心は木ではなく人である」とも述べられました。

それぞれの講演はドイツ語←→日本語の同時通訳を参加者がヘッドセットで聞くという方式で実施されました。

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休憩を挟んで、いよいよJIRIの番です。

私は「日本の地域における林業、木材産業、人材育成」と題して、岐阜県の紹介と林業木材産業の概要、森林文化アカデミーの教育・活動について報告しました。

続いて、ヨハン・ハインリッヒ・フォン・チューネン研究所のハイノ・ポレー氏から10年に一度実施される「国家森林調査(NFI)」についてお話がありました。この調査はドイツ林業の持続可能性が担保されるためには欠かせない調査で、2002年以降トウヒが減少してきていることを示唆されました。

 

午後からは、ロッテンブルク林業大学のアーサー。ペタク教授から「ドイツにおける林産物企業の経営状況」と題して、そして鹿児島大学の寺岡行雄教授からは、「日本における正確な情報とICT技術を活用した新たな林業の課題について」3Dレーザースキャニングなどについて報告がありました。

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さらにバイオマスに関しては、森林バイオマスを活用した再生可能エネルギー供給事業を展開している会社を経営する、マルクス・マン氏から具体的な事業の実情や経営の苦労などについて伺いました。

さらにロッテンブルク林業大学のステファン・ペルツ教授は「森林からのバイオマス:供給と価値の付与~ドイツにおける経験」と題して、ドイツ国内の再生可能エネルギーを含むエネルギー事情について紹介されました。

再生可能エネルギーからの熱利用は2010年以降、原油価格の下落によって伸び悩み傾向があり、ペレットの生産可能量は320万トン生産可能であるが、実際の生産量は200万トンにとどまっている。

 

最後には、岩手大学の伊藤幸男准教授が、空白の20年を経て再び盛んになってきた日本のバイオマスエネルギー利用の現状について報告されました。

シンポジウムは朝から夕方まで長時間に及びどなたも大変お疲れになられたのの、幅広い話題に時間を感じず、シンポジウムを終えることができました。

 

そして、夕食会までの間、午後10ごろまで暗くならないのをいいことに演習林に向かいました。

1600haもある演習林は実は市有林や州有林を演習林利用しているものです。その演習林お入り口で、地元のフォレスターにご案内頂きました。

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なんと、演習林入り口には野外でバーベキューができるように設置されており、週末には周辺の方々が自然を満喫するときの昼食会場になっているようです。

 

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演習林ではトウヒが天然更新しており、野生のシカも年間120頭平均、昨年は200頭狩猟捕獲したそうです。

私たちは演習林内を2時間ほどご案内頂き、最後はロッテンブルク林業大学の学生食堂でのパーティになだれ込んだのです。

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最後に、今回のシンポジウムの実現について、ロッテンブルク林業大およびBW州に感謝するとともに、特にKaiser学長、Hein教授に感謝するとともに、鹿児島大学、岩手大学、岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアムの皆様に感謝致します。

来年は岐阜県で第二回の日独林業シンポジウムを開催する予定です。

みなさまのお越しを心からお待ちしています。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

 

 

 


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