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2019年11月08日(金)

ドイツ・サマーセミナー2019報告 その3

9/17(サマーセミナー3日目)

3日目はクリエーター科1年の森山が報告します

 

「裸足公園(Barfuss Park)」、「エヒテ(Echtle)製材所」の視察を行いました。

裸足公園

ハルヴァンゲン(Hallwangen)というのどかな田舎町にあり、シュトゥットガルトからは車で1時間少々。この公園内では名前の通り、靴を脱いで裸足で歩きます。コースは1時間のコースor25分のコース。コースの途中には芝生広場や遊具、様々な物の上を歩ける場所(尖った石、丸い石、丸太、ウッドチップ、ぬかるみ、ドイツトウヒの球果、ガラス!?などなど)が用意されており刺激的なコース設定となっておりました。

芝生の上を裸足で歩く

水のエリアもあります

ガラスの道は案の定 痛い

裸足で歩くという稀な体験に、先生方も含めてみんな大はしゃぎです。足の裏では痛み、ぬくもり、冷たさ、不快感など様々な情報を感じ取りながら、体中の感覚や頭をフルに活用して歩いたように感じました。歩いている途中では見慣れない色のナメクジが居たり、トゲのある植物に痛い思いをさせられたりしました。このナメクジは触れても毒はないのかな?とかこの痛い植物は何だ!とか裸足で歩くことで自然をより身近に感じる機会も多くなるのではないかと思いました

日本において裸足で森を歩くというのは自然条件等の違いもあり実現可能かわかりませんが、”体全体を使って自然を感じ・楽しみ・学ぶ”という考え方は日本でも応用できるのではないかと思いました。

 

エヒテ製材所

素足公園から1時間弱、エヒテ製材所に到着しました。エヒテ製材所では日本に向けた塔婆やかまぼこ板を製造しており、年間の生産量は45,000m3。ニッチな分野の製材工場であり、ドイツでは小規模~中規模程度の製材工場だそう。使用する樹種は80%がヨーロッパモミで20%がドイツトウヒ(ドイツではトウヒの生産・利用が主で、モミの利用が多いのは珍しい)。材は末口径50cm以上の材しか挽かず、かなり大径の材を扱っていました。

エヒテ製材所では大規模製材工場とは競合しない製品を生産しているのが印象的でした。製品に伴い使用する樹種や材の径も特殊であり、これが多様な材の価値向上につながっているのではないかと思いました。逆にそのような特殊な材を安定して集められる山づくりが行われていて、生産体制が築けているのも日本との違いではないかと感じました。

塔婆。ドイツでは角材までの加工をして、日本で塔婆の形に成形

材にF2やF3と書いてあるがF→トウヒ、数字→材の等級を表している。等級は1~5で表しランク1では約24,000円/m3、ランク5では約3,600円/m3での買取り価格だそうです。※2019年9月当時

ドイツでも近年は気候変動の影響でキクイムシの被害が広がっており、低質なトウヒを扱う事が増えているようです。

キクイムシの入った痕

川上から川下までを学ぶアカデミーの学生としては、非常に興味深い1日でした。

報告:クリエーター科1年 森山蒼大

 

※現地に行った学生の報告会を11月12日(火)に行います

時間:18:00~19:30

場所:森林文化アカデミー メディアラボ1F 多目的室にて