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2019年10月15日(火)

ナバさん&エリちゃんによる欧州森林環境教育現場報告

森林文化アカデミー森林環境教育専攻の萩原ナバ裕作准教授とクリエーター科1年生の英里ちゃんによるドイツ・スウェーデン・ラトビアの森林環境教育の現場の報告がありました。

まずはナバ先生から、ドイツ・スウェーデン・ラトビアで見聞、実践してきた森林環境教育現場報告です。今回、数多くのスライドで1時間の報告をしてくださいましたが、写真撮影と公開に制限があるため、このブログではほとんど紹介できないことをお断り申し上げます。

なお、ナバ先生の報告は、ホワイトボードに示された数々のお題の中から、参加者が要望する項目を報告する形で実施されました。

 

最初に今回参集された方から、「ドイツのプレーパーク」を紹介して欲しいと依頼があり、それについて解説されました。事例に出たのはドイツのミュンヘンにある都市部のプレーパーク。ここは市有地で既に48年ほどの歴史があるプレーパークで、内容は「生活と結びついたもの」を題材にしていた。

子どもたちが利用する道具の貸出簿には、絵で表示して、どの道具も整然と整理整頓され、その道具を使って、実際の生活に密着した活動をしていたそうです。

 

次に依頼のあったのは「焚火とおとぎ話をする会」というものです。これは30周年を迎えたハウス・デス・ヴァルデスで実施されるもので、焚火で食べ物を焼き、素話(絵本や紙芝居など一切の小道具を使わずに話す素朴なお話)を聞くものです。

次に依頼があったのは、「カール・リンネ・プログラム」です。カール・リンネは植物の二名法という学名を作ったスウェーデンの方です。スウェーデンのインタープリターがリンネ博士に扮してマペットや吸虫器、傘などを利用して、クラス単位の子どもたちを自然の不思議に誘導するもの。 優秀なインタープリターは、静止したり、走ったり、子どもの興味を引く小道具を駆使したり、「いかに子どもたちのやる気を引き出すか」を仕掛けている。

 

クラスを引率してきた教員に20枚の写真撮影を依頼して、それを記録として残す。

子どもたちは何も言われなくても、傘や捕虫網を持ち出して、自主的に動く姿が見られる。

次の依頼は「小学校夕方プログラム」、これはスウェーデンの学校が有料の夕方プログラムに参加するもので、学校自体が料金を支払って自然体験をさせるもの。

 

次は「9年生のプログラム」、これは昨年も森林文化アカデミーに来て「森で算数う・理科・社会」を指導してくれたロバートのプログラム。スウェーデンの年生に対して、湿地帯の生態調査をするプログラムも紹介されました。

 

次の依頼は「裸足の公園」です。

これはラトビアにある有料の公園で、なんと裸足で3km歩くのです。

そのコースは松ぼっくりだらけ、泥だらけ、石ころだらけ、鉄パイプの上、丸太の上、コンクリートの上、大きな石の上など、様々な素材で区分けされています。コース内には谷川もあり、裸足で自分の脚(足)をいたわりながら、野生動物になった感覚でゆっくり森の中を歩く。森からのメッセージは人によって違う時間を過ごすのです。

砂利道は土より歩きやすいのか、冷たいのか、様々な感覚を感じ取ります。

コースによっては、石でも土でも好きな方を選べるような設定もある。

そして最後には、有料ですがハーブやバラの入ったフット・バス(足湯)とハーブティーもあったそうです。

続いては英里ちゃんが、ドイツとスウェーデンの報告。

彼女は初めての海外でしたが、逞しい探求心と勤勉さと前職の保育士の知識を活用して、貴重な時間を過ごしてきた一部を紹介してくれました。

最初にBW州のシュトゥットガルト(Stuttgart)郊外の公立の「森のようちえん」を紹介。

園舎はあるが、活動は毎日、森林を中心に野外で過ごす。保育士の経験上、手のつなげないような2~3歳の子どもたちは縄を持って歩かせるが、ドイツも同じだったそうです。

森に移動してからも子どもたちが様々過ごす中に、大変興味深い点があったそうです。興味のある方はアカデミーに来て、恵里ちゃんに聞いてください。

 

次に、スウェーデンの私立「プレ・スクール」です。スウェーデンでは幼稚園、保育園というような特別なものはなく、すべてがプレ・スクールです。

スウェーデンではフィカFika)と呼ばれるコーヒー・ブレイクがあり、子どもたちは10時ごろにお茶とお菓子を食べる時間がある。

 

森林の中のトイレと紹介されたものは、丸たん棒が差し掛けたもので、中央の丸太に腰をかけて用を足すものだったそうです。

スウェーデンでは公立の「プレ・スクール」もあり、そこでは1年修了したから次のクラスにという方式ではなく、子どもの発達段階に合わせてクラスを替える方式がとられていたそうです。

また教材は極力プラスティックは排除され、丸太の輪切りの積み木などが利用されていたそうです。

ナバ先生、英里ちゃん、90分にも及ぶ楽しい報告会、ありがとう御座いました。

そして遠くは兵庫県からもお越し頂いたみなさま、ありがとう御座いました。

さて、森林文化アカデミーでは11月2日~4日に「森のようちえん全国フォーラム」があり、11月23日からはスウェーデンの「森で算数・理科・社会」の研修もありますので、乞うご期待下さい。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。