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2020年08月28日(金)

日本の民家の良さとは?

建築家の丸谷博男先生をお越しいただき、2日にわたって講義を開いていただきました。

初日はクリエーター科全専攻が聴講する「森林文化」の授業。

昔ながらの日本の民家から学べること、健康的な室内環境や建築躯体など、いろいろ考えることが多い授業でした。今回はその一部分を紹介します。

昔の民家は、杣(そま)と呼ばれる人に山の状況を聞き、それを元に木を伐り出し、家を建てていました。

どこから来た、どんな素材を、何に使っているか、明確にわかっていたということです。

これによって地域性が生まれ、文化的で安心できる住まいになっていました。

森林~木材の利用までを学ぶアカデミーの学生にとって、とても共感できる話でした。

また、既製品を考えなしに使うことをしないということ。かつての日本の民家からはつくり手の心を感じることができます。

室内は、紙、木材、土、畳などの自然素材が使われていて、光を拡散させ、柔らかく落ち着いた空間をつくりだします。
床は地面から高くして庭をよく見えるようにし、建具で曖昧に仕切り、外を楽しみます。
建物の躯体は垂直水平で構成され、無理のない気持ち良さがあり、高さ、幅、奥行きの比率を重要視しています。
自然と繋がり、住まい手がストレスを感じない、シンプルで美しい家づくりをしていました。

丸谷さんの設計した別荘の紹介があり、「デザインをせずに設計をした」と言っておられました。

地域に寄り添い原風景を再現するという意味で、かつての家づくりに近いやり方だと思います。
実際にその場所を楽しめる建物になっていました。

翌日は木造建築専攻学生に向けた専門性の高い室内環境の講義です。

日本の気候は、夏は高温で湿度が高く、冬は低温で湿度が下がります。
そこにエアコンを使うと、夏の場合は室内の気温が下がり、相対湿度がさらに上がります。
その結果、結露しカビが生えます。

冬は逆に室内の相対湿度が下がり過ぎて、ウイルスやダニなどが繫殖します。

これでは健康的な室内環境とは言えません。
調湿や温熱、換気などを考える必要があり、丸谷さんはこの問題にも自然素材を利用していました。

湿気を透過する自然由来の不燃材料のバウビオを下地に使ったり、調湿性のある土壁を使ったりしています。

また土は熱容量も大きく、熱エネルギーを吸収、放出するため、上手く使えば省エネにも効きます。

換気では床下を室内化し、建物全体を下から換気する方法で、空気を循環させ、カビを抑制していました。

断熱、気密、換気などの授業は受けてきましたが、自然素材を利用しながらの方法もあると知ることができました。

アカデミー的でとても充実した内容の授業でした。丸谷博男先生、ありがとうございました。

 

木造建築専攻2年 松下昌太郎


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