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2019年09月24日(火)

ローカル・ノット(地方の資源とクリエイティブな人材の結び目)をつくる!~カンダマチノート×森林文化アカデミー コラボ企画vol.2 開催しました

森林文化アカデミーをよく知ってもらい、様々な活動でつながりを持ちたい、できれば学生として入学していただき、卒業後に地域を変える人材として活躍してもらいたい、という思いから、森林文化アカデミー森林環境教育専攻教員が行っている、小さなセミナー、第2回目を岐阜市の「カフェ星時」で開催しました。

当日は雰囲気のよいカフェに様々なバックグランドをお持ちの10人の参加者の皆さんが集ってくれました。

まずは今日の話題のひとつである春日の在来茶を用いた三年番茶でおもてなしです。準備ができたところで嵯峨教授のオープニングの挨拶、アカデミーの紹介へと進みます。

今日の話題は「ローカル・ノット」をつくる森林文化アカデミー、です。「ローカル・ノット」とは、耳慣れない言葉ですが、地域の「結び目」のことです。地方の資源と人材を結び付けてできたクリエイティブな動きのことを指します。教員2人のテーマは以下の通り。

  ⚪︎春日の山茶の保全活用について自然科学をベースに里山景観の視点から(柳沢)

  ⚪︎春日の薬草や保存食に関わる活動について環境社会学や地域計画の視点から(嵯峨)

共通するのは岐阜の西濃、揖斐川町での活動を紹介するということ、そして地方の資源とクリェイティブな人材のマッチングで停滞した状況を打ち破り、新しい動きを作り出した人材や活動について紹介するという点です。

1人目の柳沢は、揖斐川町春日六合地区の在来茶を巡る動きを紹介しました。まず春日で古くからお茶が生産されてきた背景を自然環境から読み解きます。さらに、完全無農薬・有機栽培・在来種の使用・カヤを畝の間に敷き込む茶草場農法、と、「すごい」のにもかかわらず、巷ではそれほど知られていなかった春日のお茶を、「天空の遊歩道」をきっかけに売り出していく、その動きについてお話させてもらいました。

これからはお茶だけを売る時代ではなく、その生産にまつわる自然環境や文化的景観も丸ごとセットで売る時代になっています。「天空の遊歩道」の客足が途切れないのも驚きですが、これは春日の文化的景観を知ってもらうよいチャンスだと思います。

これらを縁の下の力持ちとして支えているのが、森林文化アカデミーOBの森善照氏です。アカデミーで学んだ総合的な視点と、人脈をフルに活用して春日のお茶の生産とPRに取り組んでいます。まさに彼自身が「ローカル・ノット」と言えるでしょう。

 

2人目の嵯峨は、自ら一般社団法人「ヤマノカゼ舎」を主宰しながら揖斐川町春日の「薬草文化」と旧徳山村の「保存食」を切り口に、地域の自然資源および地域の伝統に詳しい人的資源をフル活用して山村に興味を持ったビギナーから、移住・定住を視野にいれて深く学びたい人まで、戦略的に学びを提供しています。

 

里山 SUNDAYS では、地域の日常的な暮らしに参加することによって田舎暮らしの作法を学ぶことができます。また、自らの生業をプランニングする人に対しては、起業に向けての支援プログラム「里山インキュベーター講座」を開催、新しい生き方働き方を探りながら、起業を促すプログラムを走らせています。それらの活動についての報告がありました。

さらに社会実験として、「山の保存食カフェ」を開業するべく、講座の中で山村資源のフィールド調査、活動拠点としての古民家の改修、保存食を使ったメニュー開発、運営計画の策定などを行っており、現在進行中です。

まとめとして、「ローカル・ノット」を形成するには、① ローカルの資源を深掘りする、② 社会実験と発信を繰り返す、③ 思いに共感する人たちが集まる、というプロセスが重要なこと、

それらの人材が活躍するためには、① ローカルビジネスモデル、② マーケティングとデザイン、③ 里山インキュベーターの普及、が必要であることが示されました。

その後、春日の三年番茶、薬草茶(甘茶入り)、甘茶ゼリーなど、お話に出てきた地域資源をいただきながら、参加者の方との熱い時間を過ごしました。前回もそうですが、参加者の皆さん学びの意欲がすごいので、ほっておいても議論が進みます。あっという間にカフェ星時での素敵な時間は終了時刻を迎えてしまいました。

次回の予定は未定ですが、アカデミーの多岐にわたる活動を紹介し、多くの方とつながっていけたらと考えています。今夜もひとつ、ローカル・ノットが生まれたかもしれませんね。

森林環境教育専攻教員 柳沢 直