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2021年10月24日(日)

日独デザインワークショップ始動(ロッテンブルク連携デザインWS1)

10月22日からロッテンブルク大(以下、HFR)とのデザインワークショップが全4回としてオンラインで始まりました。

初回は全体の趣旨の確認と、設計課題のヒントとなるお互いの教員からのミニレクチャーです。

開始時間もアカデミーでは5時間目(16:45~18:15)、HFRでは2時間目(9:45~11:15)と学生も比較的参加しやすい時間で設定できました。

お互い会場に集まって大きなスクリーンで共通の授業を受けている感じで進めます。
本学からは建築専攻の12名、HFRからは20名近い学生が参加しました。

上記のアカデミー会場では、右画面に同時通訳用のモニターが設置されています。

教員からのミニレクチャーでは、90分の授業において逐次通訳では伝える内容が少なくなってしまうため、ドイツ語と日本語で同時通訳で行えないかの模索をしていました。そこで、1台のPCに音声を送り込み翻訳し、通訳専用のモニターに表示するシステムを作りました。

順調にドイツ語から日本語に翻訳されています。
ところどころ怪しげな翻訳になっていますが、そこはお互いの専門分野。言いたいことがわかります。

さて初回は、まずは私から今回のデザインWSの趣旨説明とアカデミー側の課題について。

この設計ワークショップの狙い、日本とドイツにおける気候風土のとらえ方や建築デザインや要点の違いを明確にして、長所を咀嚼して取り込むことでお互いの建築デザインの発展に寄与することを目的としています。

似かよった設計課題を設定して、日本とドイツ、それぞれの土地でデザインすることで、お互いの国の考え方やデザイン要素が明確になります。

共通の課題として屋根のついた小施設というテーマで行うことになっていました。アカデミー側はまさに進行中の自力建設を題材にしています。

続いて、最初のレクチャーはHFRのウィースト教授からのMobile Moduleについて。
予算の獲得や建築許可といった現実的な課題を持ちつつ、モビリティと柔軟性を持ったライフサイクルも意識した小施設を学内に計画していました。

2番手は小原教授の木質構造のレクチャー。
日本とドイツの耐震基準についての違いを明確にしたうえで、耐震、耐風性能の考え方、継ぎ手や設備配管の断面欠損がについての構造性能についての講義です。
 
3番手は吉野教授からの木材関係のレクチャー。
木材の耐久性についてシロアリと腐朽菌の実態調査結果の分析と対策について。寒冷なドイツではまだ活発に活動していない両者ですが、今後の気候変動次第では、しっかりとした対策が必要になってくる可能性があります。
 
最後にデデリッヒ教授からHFRの今回の課題である黙想の場と考え方について。
7つの礼拝堂に屋根付きの瞑想の場を計画していきます。ゴシック様式の土着的な礼拝堂の特徴を解説しつつ、歴史的なものと新しいもの、石造りと木造といった対比を意識するように計画を促しています。
 

隔年で学生が行ったり来たりしながらお互いの建築の特徴を取り組もうと進めてきた日独デザインワークショップですが、昨年度からのコロナの影響で具体的な行き来ができていませんでした。

そこで、今年度はオンラインで行えないかを検討していましたが、ようやくオンラインでのデザインWSが実現できました。

オンラインの特徴を活かした同時通訳も実現でき、新たな可能性を見た気がします。

ですが、次回からは基本言語は英語として、お互いの学生の計画案をプレゼンします。
英語によるプレゼンもこのデザインWSの学びの一つになるとのドイツ側と日本側の共通理解です。

第二回目の学生プレゼンは1週間後。どのようにまとめ上げるか、お楽しみに。

准教授 辻充孝