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2019年10月31日(木)

コンソーシアム会員企業とドイツ林業・木材産業の調査に行ってきました!

アカデミーの森林技術・支援センターが事務局を担っている岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアムでは、毎年、ドイツ林業調査を実施しています。

今回は、9月22日から29日に実施し、ロッテンブルク林業大学(以下「HFR」という。)やシュバルツバルトの林業作業現場、木材関連工場などを会員企業と共同で調査してきましたので、概要を報告します。

 

<主な調査内容>

・林業労働安全対策の現地検討

・木質バイオマスエネルギー(木質ペレット)のレクチャー

木質ペレット製造工場、薪・ペレットストーブメーカー視察

・将来木施業レクチャーと現地検討、岐阜での共同研究の打ち合わせ

・シュバルツバルトの林業作業現場視察

・KWF(ドイツの林業技術と機械の協会)との打ち合わせ

 

<行程毎の目的と得た知識・技術について>

○林業労働安全対策について

岐阜県内における林業労働災害発生率は全国平均よりも高いのが現状です。林業界全体で、労働災害を低減させるための対策が求められており、ドイツでの対策を日本での指導に活かすためHFRのWolff先生からレクチャーを受けました。

機械化の進んでいるドイツでも、急傾斜地や大径木伐採の現場があることからチェンソー作業が必要な現場も多く、危険といわれている禁止動作等による事故が多いということです。実施している対策は、岐阜県内でも指導されている内容と同じものでしたが、防護服の完全着用など林業従事者の意識が高いため、岐阜県でも内容を工夫して、とにかく安全作業を徹底させる研修を実施しなければと感じました。

Wolff先生(左)

安全な作業実演状況

○木質ペレット・ペレットストーブについて

岐阜県内には、木質ペレット製造工場4社、ペレットストーブメーカー4社があり、木質ペレット関連産業が盛んな県です。コンソーシアムでは、会員の声もあり、今年からプロジェクトチームを設置したところです。しかし、日本には木質ペレットの品質基準はあるものの品質向上に向けた対策の知識に乏しく、ペレットストーブについては基準が無いため、比較すらできない状況です。そこで、HFRのPelz先生から、ペレットについて10年以上先進的に取り組んでいるドイツの技術・知識を学ぶため調査しました。

ペレットについては、Pelz先生やペレット製造工場で品質向上のための知識・技術について聞くことができました。また、ペレットストーブについても、先進的なドイツメーカーから排気や排煙装置の設計が重要であることなど聞くことができました。調査結果に基づき、コンソーシアムのプロジェクトチームで対応について検討していきます。

Pelz先生(右)

ペレット工場(Schellinger社)

工場内の視察

ストーブメーカー(Wodtke社)

温水供給併用ペレットストーブ

○将来木施業について

HFRのHein先生から、岐阜県で共同研究をしたいという話があり、森林文化アカデミーを中心に岐阜県内での共同研究を具体的に進めるために打ち合わせを行いました。

打合せでは、「HFRの博士課程の学生の研究論文にしたい」「広葉樹林の現地が望ましい」「選木対象とする樹種については森林文化アカデミー教員の判断に任せたい」などのHFR側の希望を確認しました。岐阜県側からも針葉樹林についても検討したいと伝えました。

現地検討も行い、将来木施業を実際におこなわれている施業現場を視察し、選木の仕方や、調査項目などの確認をしました。

共同試験は準備もあり来年度以降からとなりますが、検討を進めていきます。

Hein先生(右)

将来木施業の現地調査

○シュバルツバルトの林業作業現場調査

同行したコンソーシアム会員から、ドイツでの架線系集材現場を調査したいという希望から、シュバルツバルトにて現場調査を実施しました。

今回調査した現場は、一部50度にもなる急傾斜地であること、標高が高く林地保護区域の指定され、高性能林業機械での作業ができないことから、架線系集材を採用していました。

現場では、フォレスターら3人で作業しており、タワーヤーダと、それに連動したリモコン式搬器で、連携のとれた作業をしていました。ドイツメーカーの搬器や、ホイール式スキッダなどの作業性の高さを知ることができました。

参加者は質問を多く投げかけるなど熱心に調査されていました。日本にも様々な搬出技術がありますが、現場に合わせた効率的なシステム採用のため、選択肢の幅が広がったのではないでしょうか。

タワーヤーダとスキッダの連携

全員で記念撮影

○KWF(ドイツの林業技術と機械の協会)との打ち合わせ

2020年7月にドイツで4年に一度開催される欧州最大級規模の「KWF林業機械展2020」が開催されます。コンソーシアムでは、大規模な調査団を派遣する予定ですが、開催内容について主催者であるKWFから詳細の聞き取り調査をしました。またKWFでは、ドイツで販売する林業機械や林業用防護服の審査を行っており、業務内容についても聞き取り調査を行いました。

KWFでのチェンソーの安全性の試験状況や、新規開発の機械の審査状況など説明を受け、安全性には非常に注意しているという印象を受けました。また、林業機械展は日本からのブース出展と多数の来場者に期待しているという事で、コンソーシアムとして検討することとしました。

KWFとの打ち合わせ状況

審査中の林業安全作業練習機械

<調査を終えて>

毎年、ドイツ林業調査を実施していますが、調査する人によって着眼点が違うため、毎回、新たな発見があります。今回は、特にペレット関係やKWFで新たな情報が得られました。また、これまで現地を見た参加者は、みなさん意識が変わったと感じています。話を聞くのも良いですが、実際に見るのは大きく違いますので、今後も続けていきたいと考えています。

来年度は4年に1度の欧州最大級林業機械展がありコンソーシアムとして大規模調査団を派遣する予定で、新たな技術や欧州企業連携先を見つけられたらと期待しています。

最後に本調査をコーデイネートしていただいたHFRの方々に感謝申し上げます。

 

岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアム
事務局(森林技術開発・支援センター) 中通


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