活動報告
2019年12月03日(火)

2019 ドイツ森林環境教育 視察報告その4 「“青少年森の家”で企画&実戦ワークショップ」

森林州であるバーデンビュルテンベルク州には、州森林部が管理する4つの「青少年森の家」があります。そのうちの一つ、シュヴァルツ・バルト(黒い森)にある森の家に1泊2日でお邪魔しました。この施設も4年前に一度訪れた場所で、所長&森林教育ディレクターとして活躍するロビンさんはロッテンブルク大学の卒業生のフォレスター。アカデミーと連携を結んでいるロッテンブルク大学は州内外のこうした施設に多くの卒業生を送り出しています。

ここでは小学生から中高生を主な対象に(主に州内の学生向けですが、州外や海外の子供らも対応)3泊4日から1週間程度の宿泊プログラムを提供しています。プログラムの様子は過去の報告もしくはブログを見ていただくとして、今回は私たちとしては初めての試みとなったドイツ指導者とのプログラムの共同企画&実戦についてご紹介したいと思います。

滞在中、子供達は森林体験、エコツアー、環境教育、木工、手仕事、ハンティング体験、ツリークライミングなどなど森の空間を活用した様々なプログラムが体験できます。我々の滞在中は、2つの学校からそれぞれ5年生の子供達が30人ほどずつ宿泊していました。今回はこの2校の子供達に対してプログラムを前日に企画、翌日実践、そしてその反応や効果を試してみようというのがワークショップのねらいです。これは我々にとっても実験であると同時に、学生にとって指導者がプログラムをゼロからどのように作るか、そのすべてのプロセスを見ることのできるまたとないチャンスです。フックス教授とロビン所長、私ナバとそして学生の英里ちゃんの4人でプログラム企画会議が始まりました。

まずは子供達の観察と分析、そして先生や学校からのリクエストの理解から始まり、既存プログラムの聞き取り、時間や道具の制限、達成したいゴールなどを出し合いました。その結果

「チームビルディング」「森の木を少なくとも5つ覚える」「暮らしに使われている木を3つ言える」「森も人もみんな違うことに気づく」「森を見る視点を1つ知る」「手道具で木を伐る方法を知る」といったあたりがゴールであることを確認。そしてそこからは、メインの活動を決めて、導入、展開、まとめの流れに沿ったプログラムのストーリーを組み立てていきました。

学生だけでなく、私にとってもドイツの指導者らと一緒にプログラムを開発するのはとても面白い経験でした。森林教育(環境教育)という同じ目標に向けた活動をし続けてきただけに、お互いに「こうなったら次はこうだよね〜」「あ、それいいね〜。でもこうしてみたらもっといいかも」みたいなノリでプログラムを組み立てていたのがとても気持ちの良いものでした。国は違えども、同じことを考え、同じ感覚で活動している「同志」であることがよく伝わってきました。

みんなで楽しむためにキャンプファイヤーやマシュマロを焼いて食べるためには薪が必要。今ある乾いた薪を使う代わりに、次に来る子どもたちのために木を切って薪を作る必要がある。でもむやみやたらに裏山から木をきるわけにはいかない。まずは裏山にどんな木があるかゲームをしながら知り、その後チェリーの木が豊かに茂るような山にしたいという話を管理人から聞く。そこでチェリーの木がよく育つよう、成長を妨げている木を選び、手道具で協力しながら伐採し、みんなで担いで薪置き場まで運ぶというものだ。ゲームは互いの手のひらを比べて並ぶアイスブレークからスタート。「木も人もみんな違う」そんなメッセージも込められています。指導はフックス教授とロビンさんが主担当、途中1コマだけナバが英語で担当させてもらいました。

同じ流れのプログラムを午前と午後で別々の学校の小学5年生に実施。1回目終了後にショートミーティングして微調整、2回目を実施後ふりかえりをしました。グループごとに反応が異なるものの結果としては良い反応を得ることができました。終了後、学校の先生からもフィードバックをいただけました。

「切った木を丸ごとみんなで協力して長距離運ぶ」「木を切る前にお祈りする」といったアカデミーのプログラムとしてよくやっている内容が、ドイツでは初めてだったらしく、なかなか喜んでもらえたのもまた印象的でした。

こうして無事終わった「日独共同プログラム企画・実践ワークショップ」はまずまずの成果で終わり、今後もこうした内容を森林教育指導者の育成プログラムの一環としてアレンジしていけないか、真剣な打ち合わせがその後続いたのでした。

なんちゃって先生 萩原ナバ裕作


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