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2017年10月10日(火)

自力建設のメンテナンス 後編

今日はメンテナンス実習の最終日。前回の自力建設メンテナンスの続きです。

自力建設の劣化診断をした結果、利用度と危険度の優先順位から、4つの自力建設が同時進行で勧めています。
さすがに、クリエーター科の2年生は自分たちの自力建設の経験者。段取りよりエンジニア科の林産コースをまとめて進めています。

ですが、4つの自力建設を完ぺきに治すには授業時間が足りません。最低限、利用時の安全性を確保できるように勧めていきます。

一つ目は、一期生の「森の中の四寸傘」。劣化の激しかった小屋束の腐朽部分の交換です。

劣化状況を見ながら傷んだ箇所を取り除いています。表面3cm程度で、腐朽が止まっていたため、最悪を想定していた束の全とっかえは取りやめ、埋木と板金で保護して経過を観察することに変更。

四寸傘

板金加工もお手の物。近くで見ると少し・・・ですが、現場加工としては十分でしょう。来年のメンテナンス実習で経過観察を行います。

板金

2つ目の自力建設は、2期生「みさきのちゃや」に10期生が増築した「あらかしのだんだん」です。

まずは傷んだデッキを取り外して、状況確認です。

想定通りデッキの隙間のポリカーボネート波板の効果は抜群で躯体はほぼ無傷。ですが、波板を入れていないところは劣化が進んでいます。

その部分にもポリカ波板を挿入しつつ機能向上をはかり、何とか使えるようになりました。最後の一枚が、既存部材のリユースですが、来年の後輩への宿題です。

3つ目の自力建設は4期生の「風の円居」です。

10年間の風雨にさらされて一部のデッキ板が抜け落ちそうです。厚みは40mmと少し厚めの板ですが、根太に固定されていたところが乾燥しにくく、見事に腐朽しています。
取り外して下地の根太や梁の確認です。

板だけの交換だと修復できそうですが、下地の梁なども修繕が必要でした。そのため、4つ目自力建設に力を入れるべく、傷んで踏み抜きそうなデッキ板は取り外し、安全ロープで立ち入り禁止にして今回はここまで。

最後の4つ目の自力建設は8期生の「ほたるの川床」です。前回からの続きで下地調整を行います。ここは高低差もあり、踏み抜くと大けがをしかねません。

機能向上もかねて、下地の根太を増やし、デッキの板厚も30mmから40mmにアップさせるという工夫と、デッキ面積の一部減築を行うなど、今回のメンテナンスで最も力を入れている建物です。

新たに製材した根太やデッキ板、手すり部材を搬入し進めていきます。

思いがけない劣化箇所が見つかるなど、難航していましたが、完成の目途が立った時点で、時間切れ。惜しくもメンテナンス完了ならずでした。

それでも足元の安定感は抜群。このデッキだけは、有志で完了させていきます。

今日は、4つの自力建設を同時並行で進めるという難しいスケジュールでしたが、現場を行ったり来たり、助っ人をやりくりしたりと、段取りよく進みました。

メンテナンスを行うと、どこで木材が腐朽していくのか、どういう状況で劣化が進行しているのかが手に取るようにわかります。この経験を設計にフィードバックして、維持管理のしやすい木造建築を設計できるようになってくれることでしょう。

准教授 辻充孝


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