「測量」~森林測量の基本はコンパス測量 (その1)
測量は、森林管理に必要な現場情報を得るために欠かせない技術の一つです。
この講座の到達目標は、「コンパス測量(事業地の周囲測量)ができ、測量成果を図化できること」、主役は、牛方ポケットコンパスという従来から現場で使われるアナログ測量機器です。
最近では、便利なデジタル機器も普及していますが、測量の基礎を学び、地図力、空間認識力を養ううえでこうしたアナログ機器は外せません。
当学エンジニア科では、1年生前期に4日間かけて森林測量技術を学びます。6月2日~6月10日にかけて行われた講座の主な内容を紹介します。
(6月2日)
講座初日、前半は地図の見方、コンパスの特性、測量機器の取り扱いの座学です。
地図からは様々ないろんな情報が読み取れます。等高線を見て地形がイメージできないといけません。胸ポケットにスマホを入れていては、正確な方位は図れませんよ。
後半は、測量機器(ポケットコンパス)の使い方の実習です。
ポケットコンパスに初めてさわる学生が多く、機器の据え付けに思いのほか時間がかかります。ポケットコンパスには、いろんなところにネジやノブがついています。使い方をしっかり覚えましょう。
まずは、測点真上に機器を置き、コンパス面の水平を出すところから。これができないことには計測は始められません。ちなみに、ポケットコンパスの測量では、磁針の黒い方で目盛を読むって知ってました?
(6月3日)
講座2日目、この日は、班に分かれての測量実習です。コンパス、赤白ポール、間縄(メジャー)を担いでグランドに向かいます。
実習のお題(その1)は、「20m×30mの長方形を設置せよ」。一見、簡単そうなお題ですね。各班楽勝ムードで作業に取り掛かりますが、最後の測点にかかるところに、グランドのあちこちで「最後の測点、角度が合わない~、長さが合わない~」と悲鳴、奇声が上がります。
そう、既定の区画を現場に設定するって、とても難しかったんですね。
お題(その2)は、「6本の杭で囲まれた区域を測量せよ」。事業地の周囲測量をイメージしたお題です。各班が6測点の区画を任意に設定し、他の班がそれを測量します。この日は、コンパスマン、ポールマン、野帳マンと役割を交代しながら、各班、3区画の測量を行いました。
わずか6測点とはいえ、作業が始まると、実際の現場でもありがちなミスが続々と発生します。目盛を赤い針(逆方位)で読んだり、コンパスやメジャーの目盛を読み違えたり、最悪は、磁針を固定したままで目盛を読んだり等々。
こうした苦い経験を、今後の現場で活かしてほしいものです。
以上、報告は担当の伊佐治でした。