松山 充~仕事を通じて日本の山の価値を高めたい~
プロフィール
森林文化アカデミー19期生
1986年生まれ 愛知県出身
大学卒業後、製造業の経理マンとして森林とは無縁のサラリーマン生活を送る。齢三十で「日本の山を、救いたい!」を合言葉に林業業界へ殴り込み、森林文化アカデミーでの二年間を経て、奈良県の林業事業体に就職。
質問1)今の仕事内容を教えてください
奈良県の林業事業体(一般社団法人)で、事務局の責任者を務めています。採用労務、財務会計、総務システムなどのバックオフィス業務全般に加え、山林売買仲介、市町村林政アドバイザー、森林調査やJ-クレジットの創出も行なっています。ベンチャー気質の法人なので、新規立ち上げの仕事が多いです。
質問2)今の仕事で「キツイな~」と思うことと、やりがい(やっててよかった~)に感じることを教えてください
新規事業は他社の事例が少なく、知らないことも独力で調べて考えて動かなければならないので、非常にエネルギーを使います。また担当業務のレンジが広いため、日々の切り替えが大変です。山の境界調査から帰ってきて、午後から銀行と融資の打ち合わせをしても、なかなか頭に入ってきませんね。その反面、自分で労力を注いだことがダイレクトに成果へ結びつくので、やりがいは感じています。
質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?
森林や林業に関係する人々の裾野を広げる機会が多いと感じます。
素材生産そのものより、所有者・事業体・行政・企業といった利害関係のハブになる業務が多いためです。どの方も大小さまざまな苦労をされていますが、それでも、山をなんとかしたい、森林は大事なのだという心意気には常々頭が下がります。
私自身、ファンダメンタルな課題を考えるのが好きなのかもしれません。みなさんの思いを新たな価値づけに昇華できるお手伝いができればと考えています。J-クレジットはその一事例ですが、もっと深化させたいです。
質問4)森林文化アカデミーに入ったきっかけ
きっかけというほどでもないですが、森林や林業のことが社会課題として気になってしまい、インターネット検索などしている内に、森林文化アカデミーのことを知りました。元々登山が趣味だった訳でも、樹木に詳しかった訳でもないのですが、最後は全く知らない世界を勉強してみたいという好奇心が勝ちました。知らない分野を学び直すステージとして、森林文化アカデミーは最適な環境だったと思います。
質問5)アカデミーで得た学び
林業専攻の授業は、将来業界で働くにあたって必要な事項の基礎から応用をほぼ網羅しているため、非常に安心感がありました。今でも授業資料を見返すことがあります。また様々なバックボーンを持った教員や同窓生との交流は、今後の人生にとって貴重な財産となりました。学びの興味や関心が千差万別で面白く、いろんな角度から森林を考えた二年間でした。
質問6)専門分野以外の授業やプロジェクトで、役に立った(印象に残っている)科目
木造建築専攻のバウビオロギーの授業は、住環境を考える上で大変興味深い内容でした。デッサンやクロッキーは、ものを観察する訓練になりました。
質問7)アカデミー入学前の仕事や家業など、バックグラウンドが活かされていると感じることがもしあれば。
堅い企業の経理をやっていたので、会計知識やサラリーマン的お作法はそのまま現職でも活きています。
質問8)今の仕事をしていく上での「モットー」。これからこの道を目指す若者へのメッセージ
モットーは、人との関わりを原動力に変えること、責任感を実際の行動で示すことです。そもそも林業業界は、プレーヤーが少なく小規模な団体や集まりが過半なので利害関係が生じやすいです。ウェットな話ですが、人と関わりながら地道に物事を合意形成していくことがポイントだと感じています。具体的な方法論になったら、合理性を目指したらよいのです。
日本は森林大国と言いながら、手が回っていない森林ばかりです。可能性は無限大だと思います。ぜひ関わってみませんか。