林業専攻
卒業生の進路

中嶋 雄一郎 -山守を目指す材木屋-

山守を目指す材木屋
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プロフィール

1980年 生まれ  雛屋林材 株式会社 勤務

岐阜県岐阜市出身。大学進学とともに上京し、東京で8年間のサラリーマン生活を送る。その後、岐阜で林業に就くことを志し、岐阜県立森林文化アカデミー入学。卒業後、製材業と林業の両立を目指す。


P7300029質問1)今の仕事内容を教えてください

主な仕事は、いわゆる材木屋です。建築に使う木材の加工や配達をしています。丸太から切り出した木材はそのままでは使えないので、木材を実際の建築に使う大きさにミリ単位で加工します。木材の表面をヤスリがけすることもあります。このように加工した木材を建築現場まで運び、大工さんに渡します。

これらの仕事に加え、山林の管理も行っています。会社で経営している山林があり、苗を植えるところから、育った木を伐り出すまでの計画を考えています。ときどき、実際の作業を手伝うこともあります。

P7300032質問2)今の仕事のなかで「キツいな~」と思うことと、やりがい(やっててよかった~)に感じることを教えてください。

山林管理はアカデミーで基礎的なことを学びましたが、実社会では経験がないので、山を見て回って考察したり、参考になる事例を調べたりする時間が不可欠です。自分が山を作っているという自覚があって、おもしろいですが、プレッシャーも大きいです。一方の材木屋としての仕事は、建築の知識が必要です。建築については全くの素人なので、覚えることがたくさんあります。材木屋の仕事と山林管理の仕事の両立は自分の能力が追いつかないと感じることもありますが、山で苗を植えるところから、樹木が木材になり家になるまで、すべてを見ることができるのは今の仕事の特権かもしれません。

P8240070質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?

まだ社会貢献を実感するような仕事はできていませんが、地域の見本となるような森林施業ができるようになりたいと考えています。また、樹木と人の暮らしを繋げる仕事を作り出していきたいと考えています。

P8210067質問4)アカデミーに入ったきっかけ

東京でサラリーマン生活を送る中で、岐阜に帰って、地域に役立つ仕事がしたいと考えるようになりました。そんな時、趣味のアウトドア関連の本を探していて、林業の本を手にしたのが転機でした。その本で、国内の林業は厳しい状況にあるがチャンスもあるということを知り、岐阜で林業に携わるという目標を持ちました。すぐに林業会社に転職することも考えましたが、林業は全く未知の世界でした。そのため、一から現場で学ぶより、基本的知識をまとめて学んだほうが、その後の成長が早いと考え、アカデミー入学を決意しました。

P7300033質問5)アカデミーで得た学び

アカデミーで学んだことは森や木をどうみるべきか、どう考えるべきかという林業における根本的な部分です。これから仕事をしていく中で、自分が成長するための土台ができたと感じています。
林業では全く同じ現場はないので、場所に応じて適した方法は異なります。例えば、今年の春に植栽を行った現場は、スギの成長がよい場所でした。しかし、雪による被害やシカの食害が予想されるため、植栽すべきか悩みました。そのため、何度も現場を見て、いろいろな方法を検討しました。その結果、雪の害やシカの食害は防ぐことができると判断し、植栽することを決断しました。初めての植栽計画ではありますが、多くのことを考えることができ、大きな経験になったと思います。

質問6)自分の専門分野の授業以外で役に立った(あるいは履修した)科目、プロジェクト、活動

「聞き書き」やキャンプの実習は他者との関わり方、コミュニケーションの取り方という点で勉強になりました。林業には地域に対する理解が必要不可欠だと思います。地域との関係性を築く上で、参考になるだろうと思います。

木工分野には材料を提供したり、手伝ったりなど授業以外でかかわることが多かったと思います。その関わりの中で木材には様々な使い方があるということを経験したことは大きいです。木工には樹木をいかに商品にするかというヒントがたくさんありました。

建築と共通の講義では、木材の乾燥や強度などの概略を知ることができました。樹木を育てる上で、最終的な商品である木材についての知識は欠かせないと思います。材木屋になった今から考えると、木材や木造建築についてもっと勉強すればよかったと思っています。全体を通して、いい木を育てるだけでは商売にはならないので、いい木に育った樹木でいかに稼ぐかを考えるのが林業なんだろうと思うようになりました。

質問7)アカデミー入学前の仕事や家業など、バックグラウンドが活かされていると感じたことがもしあれば。

営業をしていたので、人並みの一般常識やPCスキルは持っていた、ことぐらいですか。

質問8)今の仕事をしている中での「モットー」。これからこの道を目指す若者へのメッセージ

アカデミーの講義の中で「理念・哲学なき行動(技術)は凶器であり、行動(技術)なき理念は無価値である」という本田宗一郎氏の言葉とともに「林業にも哲学が必要だ」という教えがありました。自分の技術力を高めるとともに、自分が林業を志した理念を忘れないようにしたいと思います。

林業に携わるには、いろいろな道があると思います。自分にあった道を見つけてください。

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