5里山キャンパス
持続可能な社会のヒントは日本の「里山」にあるーー「暮らし」をテーマに、森、食、資源循環、再生可能エネルギーなど、課題の設定から実践まで自分たちでつくる、新しい学び方が始まっています。
新しい学びの場を創造する
2025年1月、本校の目指す次の20年の姿を示した「森林文化アカデミービジョン2040」を発表しました。その大きな目標は、森林文化から社会課題解決にアプローチする「FbS(Forest based Solution)人材」の育成を目指すことです。
FbS人材の育成には、これまでと違う、新しい学び方も必要です。森林環境教育では、森林空間の活用するスペシャリストの育成を目指していますが、そのためには、自然科学の基礎知識はもとより、農的な暮らしの 体験や、森のようちえんの実践など、様々な要素が必要です。
総合的な学習のためには、それらを授業として教室で断片的に学ぶのではなく、一つのフィールドで継続的か つ重層的に学ぶことが必要です。
そして予測困難な未来を切り開くための新しい学びは、
これまでの「教える(teach) → 教わる(learn)」という「教育」ではなく、
教員も学生も互いに学び合う「共育(Co-learning)」 、そして「共創(Co-creation)」です。
FbSを実践する人を育むこれからの学びの場 —— それは、森と人、まち、社会、経済活動がリアルにつながったものです。これからの時代に必要な、最適な学びの機会を生み出すために、私たちは新しい学びの場の創造をスタートしました。それが「里山キャンパス」です。

持続可能な世界に向けた、日本からのメッセージ「里山」
「里山」は、山と森、川と田畑、家と周辺など、人が暮らしを通して利用してきた自然の姿、そしてそこから生まれた生態系です。日本の里山は、数百年、数千年と続いてきた、循環型の営みです。長い年月を経て、人を含めた多様な生き物が暮らせる環境が「里山」を形づくっています。そこには、人が自然と共生する知恵、そして文化があります。
近年では、西欧でも自然共生・循環型のテクノロジーが注目され、統合的な技術である「パーマカルチャー」は世界中で実践されるようになりました。その基本形となったものが、日本の「里山」でした。
世界中で取り組む持続可能な社会の実現
—— その最大のヒントが日本に、そして「里山」にある、と私たち考えています。

「里山キャンパス」が大切にしていること
「里山キャンパス」では、「自然とつながりながら学ぶ(環境/Eclology)」ことと、そして「社会とつながりながら学ぶ(経済/Economy)」ことを大切にしています。またそれらを「暮らしを通して学ぶ」ことが基本です。
特に、予測困難な時代を乗り切る力を身につけるためには、季節や気候が刻々と変化する、不確実性が常にある自然の中で、体験を通して学べる環境が重要です。森林文化アカデミーの中では、フィールドづくりやものづくり、日常的に火を使えるなど、自然の中で学ぶことができる環境が整っています。
また、複雑な社会課題に取り組むためには、実社会とつながりながら課題を”自分ごと”として捉えて取り組むことが求められます。「里山キャンパス」の学びは一人ひとりが主体性をもって取り組む「マイプロジェクト」を持ち、実践を通して技術と気付きを得る「プロジェクト型実習(Project based Learning/PBL)」です。
新しい学びを通して身につける力
「里山キャンパス」では、一人ひとりが「森と人をつなぐ実践者」を目指し、次の資質・能力を育みます。
- 知る力・気づく力:自然や地域に対して広く関心を持ち、探究しようとする力
- 協働する力:課題を見出し多様な人と共に取り組む姿勢と、そのために必要なコミュニケーションスキル
- 実践する力:自然資本を活かした活動やフィールドづくりを社会の中で実践するための力
- 伝える力:自然のメッセージを伝え、人の行動変容を促す、”伝える・伝わる”ための表現技術
- 自己実現を通して社会をより良くしようとする主体性と行動力
まずは学内からスタート「里山キャンパスプロジェクト実習」
森林や里山が持つ空間としての価値と可能性を再評価し、新たな循環型社会の実践提案や、森林サービス産業を創出することができるFbs人材の育成を目指す、新しい学びの場「里山キャンパス」。
前例の無い「里山キャンパス」を創るため、2024年から「里山キャンパスプロジェクト実習」をスタート。年間40日以上、専攻の教員と学生全員が参加して開催。自然の中での活動を通して、これからの新たな学びの形を探究しています。
※活動の様子は、Instagram、Facebookで発信中です。
実習の1日の流れ(例)
学内で実施される「里山キャンパスプロジェクト実習」は、主に「フィールド観察」「チェックイン」「活動」「ふりかえり」で構成されます。
内容は、季節や天候に応じて、また学習者自身の主体性に寄り添いながら、全員で考え、1日の流れをつくります。
現場で起きるリアルな課題に向き合い、さらに自然に沿った「暮らし」を実感しながら、仲間とともに課題解決に取り組む、本質的なプロジェクト型学習(PBL )です。
1)自然を感じる・発見する「フィールド観察」

2)自分と仲間の今に耳を傾ける「チェックイン」

3)自主的・創造的に取り組む活動: 野外活動と学び場づくり


4)1日の学びを落とし込む「ふりかえり」

主な活動
2024-2025年度の例です。
- 道・階段づくり、草刈り、石積み
- 畑づくり、小屋づくり、脱穀・収穫
- 民具制作、薪割り、火おこし、炭づくり、野外調理
- 川や森での生き物調査、実験
- 地域との協働作業、商品開発、イベント企画
- ポスター制作、SNS発信、プレゼンテーション
- 先進地視察、など
活動内容は、里山キャンパスのInstagramもぜひご覧ください。
活動を通して生まれる新たな学び
学生の主体的な活動を通して、これまでの単一的なカリキュラムに分類しきれない、実践的で複合的な学びが生まれています。
■ 技術(ものをつくる)
庭づくり、小屋づくり、DIYなどを通じて、土木技術やものづくりの基本を学びます。■ 里山の知恵(自然と道具の関係)
民具の活用、薪の加工など、暮らしをつくってきた里山の知恵を学びます。■ 食と農(育てて、味わう)
野菜づくり、家畜の世話など、命と向き合う体験ができます。■ あそびと探究(学びをつくる)
焚き火、自然観察、炭焼きなどを通して探究心を育くみます。■ 地域連携・教育(人とつながる)
地域の方との交流や体験プログラムの実施など、伝える力を身につけます。■ 経済・マネジメント(社会につなげる)
プロジェクトの企画やプログラム提供を通して、事業経営の視点を身につけます。■ 表現・情報発信(伝える・伝わる)
作品づくりやSNS発信など、「伝える・伝わる」力を育てます。
学生主体の主なプロジェクト(2024年度)
プロジェクトの実践を通して、個々人そして共同体に、複合的な学びが生まれます。
◯ヤギの飼育
◯ヤギの飼育を通した学びの例
・小屋づくり(建築技術) ・ものづくり(電動工具、設計、道具) ・コミュニケーション etc.
◯竹を利用したチームビルディングのプログラム開発
学生の声
「みんなでその日やることを組み立てるところがいい」
「チェックインの時間が好きです。それぞれ自由に喋っていいという雰囲気があります。違う環境にいた人が集まっている場で、思いをすり合わせたり、発散したりする場として、とても有難いです」






