1 手工具
「手工具」まずは道具の使い方から
木工専攻に入学する人の大半は、木工経験がありません。そのため入学後に基本的な道具の使い方を少しずつ学んでいきます。
「刃物の研ぎと使用」は、1年次の4月に行われれるクリエーター科の共通科目で、林業、森林環境教育、木造建築、木工の4専攻すべての学生が履修します。森や木に関わる人は、刃物を使って木を伐り、加工して、暮らしの道具を作ったり、家を建てたりします。そのため森林文化アカデミーでは、全員が刃物の基本的な構造、研ぎ方、使い方を学ぶのです。
この授業で毎年最初に研ぐのは、ナタでもノミでもなく、普段自分が使っている包丁です。「研いだことのある人?」と聞くと、ない人が大半ですが、研ぎ方を学んで少し研ぐだけでトマトが驚くほど切れるようになります。刃物をうまく使えると、暮らしも豊かになることを体験します。
「手工具1」は木工専攻の専門科目。1年生は自分のノミ、カンナ、小刀、ノコギリ、砥石を購入し、まず道具の「仕込み方」を学びます。プロの使う手工具は、買ってすぐ使えるわけではありません。特にノミやカンナは、細かい調整や研ぎを行って初めて切れる道具となります。これが仕込みです。
仕込みが終わると、「千鳥格子の鍋敷き」「まな板」「箸」を作ります。千鳥格子は岐阜県にゆかりのあるもので、6つの木片に欠き取りを施して組み合わせると、まるで木を編んだようになります。この欠き取りをノコギリとノミだけで行います。繰り返し欠き取り作業を行うことで、道具を正しく持ち、水平、垂直に構えて削る技術が身に付きます。
まな板や箸をカンナで美しく削るのは簡単なようで難しいものですが、これも繰り返し練習するうち、機械加工では決して得られない美しい木の表情が現れます。
「手工具2」では、小刀と丸ノミを使ってスプーンを製作します。「手工具1」が直線、直角であるのに対して、「手工具2」は有機的な曲線を削ります。
「グリーンウッドワーク」は、生木を伐り、斧で割り、ナイフや銑(セン)と呼ばれる道具で削ってスプーンや椅子を作る実習です。森林文化アカデミーが全国に先駆けて普及に取り組んできた木工です。機械や電動工具を一切使わず、人の力と手工具だけで物を作り上げる面白さと感動があります。全国的にファンが増えていて、卒業生のうち数人がこのグリーンウッドワークの指導者として働いています。
これらの授業を通して、手工具を使った加工技術を磨いていきます。