4 木育
もの作りの技術と知識を活かして、人に伝える
生き物である樹と、生活の中で道具や素材として使われる木。
樹と木のつながりという側面や木が持つ特性を活かして、人や社会を良くしていく活動全般を私達は木育と呼んでいます。
木育には、森や山などフィールドの中で行う活動から、木のおもちゃや生活の道具を入り口にした街の中で行われるものまで様々なものがあります。アカデミーの木工専攻では、モノづくりを基本的な軸にしながら、子どもから大人までを対象にした幅広い木育について実践しながら学び、卒業後の講座運営や指導スキルに活かしています。

イス作りを通した仲間作りの木育ワークショップ
アウトプットの仕方を学ぶ
学生達はまず、講座運営にスタッフとして関わりながら、講座の進め方や伝え方について学びます。その中で、講座を企画するときに大切な「ねらい」の設定の仕方や企画書の書き方について学んでいきます。
多様な課題にアプローチする手法を学ぶ
学生達は日々の実習の中で、道具の使い方や木の特性、森の樹の成り立ちなど多くのことを学びます。この学びの中で得た知識や技術を活かして、学生達は社会に対してどのようにアウトプットができるのかを考えていきます。
木育を通して何を育むのかは、学生の向き合う課題や得意分野、活動をしていくフィールドによって異なります。ここで扱うのは伝統的な木工技術のみでは無く、野外でのナイフワークやデジタルファブリケーションといった新しい木工技術まで、
アカデミーでは現場の実践を通して木育の手法を学びます。
ぎふ木育の伝え手として実践する
岐阜県には木育を推進するために、県内100ヵ所のぎふ木育広場が設置されており「ぎふ木遊館」や「morinos(森林総合教育センター)」といった大型木育施設があります。さらにアカデミーでは、木育を実践する地域の保育園や学校、施設とも連携して、これらをフィールドに学生達は実験的な木育講座を企画・実施していきます。
木育の実践とは、ただ単純に工作を教えることではありません。
木が持つ特性や多様性を体験に盛り込みながら、木に触れることを通じて森や地域について考えたり、仲間作りに導いたり、子ども達の自信や優しさにつなげるような「気づき」や「きっかけ作り」を行います。
作ることの意義と価値を伝える
木や木製品が持つ価値や文化を広く正しく伝えていくことも木育の1つです。
今ある技術や道具も、価値を正しく評価する人がいなくなれば廃れてしまいます。
これからの社会では寡黙な作り手でいることは難しく、自ら情報を発信して、ものの価値を正しく伝える「普及」の役割も作り手が担っていく必要があります。その時に、樹と木をつなげて話ができるスキルや地域の文化と森林のつながりを語れることは大きな強みになります。