森と木のクリエーター科 木工専攻

5 木のおもちゃ

地域の木で木のおもちゃを作る

今、国産の木材、特に『地域の木』を使って木のおもちゃを作ることが1つのブームになっています。地域の森林への関心を育てたい、これから育っていく子ども達の心に地域への愛着を育みたい。そんな思いで、自治体や保育者、林業従事者などが森に意識を向けるきっかけ作りの1つとして、木のおもちゃを地域の木で作る活動が各地でスタートしています。

一方で課題となっているのが、おもちゃの作り手の担い手不足です。良質な遊びを生み出し、かつ長く使い継ぐことができる木のおもちゃを作ることは、木工技術はもとより、子どもや育ちに対する配慮も求められる難しいモノ作りです。アカデミーの木工専攻では『おもちゃは子どもが最初に手にするアートである』という考えを軸に、地域材を使った木のおもちゃのデザインと製作について学びます。

学生と作った西予市の積み木「西予のたからばこ」

学生と地域が連携して作った積み木「西予のたからばこ」

おもちゃを通じて地域の森林の課題を知る

日本の森林と林業は現在多くの課題を抱えています。荒廃した森林がどんどん拡大していたり、人材が足りていないといった担い手不足であったり、結果として発生した森林の自然災害が都市にまで影響を及ぼすことも増えてきました。
地域の木でモノ作りをすることは、すなわち、地域の森の現状を知ることにつながります。地域材で作られたおもちゃを子育て家庭に手渡すときには、材料の木がどのように切られたのか、今、森はどのようになっているかを伝えるメッセージ(リーフレット)と共に送られます。地域の森の現状を伝えるメッセージは、こうしておもちゃを通じて親や祖父母、兄弟といった子どもに関わる人々に広がっていきます。

課題解決の第1歩は「知ること」から始まります。木のおもちゃを作り、地域の家庭に届けることは地域の森に目を向けてもらうための1つの仕組みでもあるのです。

担い手育成事業の一環で作られた木のおもちゃ

森の担い手育成事業の一環で作られた木のおもちゃ

地域の木でつくられたおもちゃで子育てをする

多くの業界で「地産地消」が叫ばれる昨今、木工品にも同じことが求められています。循環可能な自然素材である木を使ったおもちゃはエコロジカルと言えますが、遠く海外から運ばれてきた輸入木材と比べて、その木が育った町で製品となり、子育て家庭や子育て支援施設で活用されれば、それはより良い成果を生み出します。

地域の山で切られた木を使い、地元の作り手が作ったおもちゃや木製品で子育てをする。作り手の顔が見える製品で子育てができるということは、モノへの安心感とともに、地域への愛着にもつながります。このような「地域のつながり」を森づくり、町づくりにつなげるツールとして、木のおもちゃは優れた側面を持っています。

大垣公園プレーパークに納めた岐阜県産材の積み木

大垣公園プレーパークに納めた岐阜県産材の積み木

今後も続く、おもちゃ作りのムーブメント

2019年に創設された「森林環境税」及び「森林環境譲与税」は地域の森林整備のために集められていますが、森林整備のための人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発の活動にも、この予算は充てられています。これらを財源として、多くの地方自治体が「地域産材の木のおもちゃ作り」「地域産材の木育教材作り」に取り組み始めています。
理想を言えば、地域に充てられたこの財源を、地域の森の担い手や作り手にバックしながら、循環的な森林資源の活用サイクルが回っていくことが1番です。しかし、地域にその担い手がいないがために、遠方で製品化されていたり、外部の事業者ばかりに仕事もお金も持って行かれてしまうといった事業形態も往々にしてあります。

おもちゃのデザインに地域の文化や自然、特産品などを盛り込むことで、おもちゃは地域のPRや地域創生のツールにも姿を変えます。おもちゃは、街と森をつなげる大切なツールです。また、同時に、子ども達の育ちに関わる素晴らしいアートでもあります。アカデミーの木工専攻では、広い視野を持って、地域や家庭の中で喜ばれるおもちゃの作り方や考え方について実践的に学ぶ実習を行っています。

学生が作った寄木のカスタネット

学生が作った寄木のカスタネットのおもちゃ