森と木のクリエーター科 木工専攻

5 デジファブ

木工×「デジタルファブリケーション」の実践

木工専攻では手作業でのものづくりを基本に、その可能性をさらに広げるためにデジタルファブリケーションを積極的に取り入れています。CNCルーター(Computer Numerical Controlの略。工作機械をコンピュータで制御し、自動で加工を行う技術)やレーザー加工機などのデジタルツールは、手作業では難しい複雑で精緻な加工を効率よく実現できる優れた技術です。これらを組み合わせることで、手仕事に根ざした木工に新たな表現やデザインの幅を加え、より多彩な挑戦を可能にするツールとして活用しています。

デジタルファブリケーションの授業では、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)との連携を通じて、デジタルファブリケーションの概念やデジタル機器の基本操作を学びます。

こうしたデジタル技術の習得は、単独の授業だけではなく、木工CADや家具のデザイン、設計などの授業とも組み合わせながら、1年次に身につけた手加工の技術を基盤に、2年次ではデジタル機器を加工の選択肢の一つとして活用し、より幅広いものづくりに取り組んでいきます。

昨年(2024年)の商品化の授業では学生の鈴木達也さんが、CNCを使いおべんとう箱を製作しました。

鈴木さんは、卒業後の仕事につなげるために自身でCNCを持ち込み、精密な加工によってパッキンを組み込むことで、汁もれしにくい仕様のお弁当箱を製作しました。

そのほかにも、CNCと手仕事をうまく組み合わせた作品を数多く手がけ、課題研究でもCNCに関連する優れた発表を行い、好成績を収めました。

こうした学生の挑戦も後押しとなり、森林文化アカデミーでも2025年8月(※2025年7月現在)、新たにCNCルーターを導入することとなりました。これにより、より複雑で高度な木工品製作や課題研究に挑戦できる環境が整いつつあります。導入後は、学生一人ひとりが自由な発想でこの機器を活用し、これまでにない木工の形や表現に積極的に挑戦してほしいと考えています。

近年ではCNCルーターなどが中小の木工事業所にも普及し、デジタル技術は以前にも増して身近なものになりつつあります。従来の手作業に加えて、こうした機器を扱うスキルは今や現場でも強く求められるものです。学生のうちにデジタルツールに触れ、基礎的な知識や操作を身につけておくことは、卒業後に自分の強みとして仕事に活かす大きな武器になります。