〜一緒に「あっ!」を感じたい〜

プロフィール
森林文化アカデミー22期生 埼玉県秩父市出身。大学卒業後、地元の地方自治体職員として入職。
環境・森林・農業関係の課で働き、その後、森林文化アカデミーへ入学。現在は再度地元に戻り、
「認定NPO法人 森のECHICA」の運営する第三の居場所「井椋(いぐら)がっこう」の職員
として働いている。
質問1)今の仕事内容を教えてください
6歳から100歳まで、誰でも来られる秩父地域居場所づくりサポートセンター「井椋がっこう」で、
さまざまな年齢や背景の方たちと豊かな自然の中で過ごしています。
来た人と一緒に土器や石器を作る日もあれば、室内でボードゲームをする日もあります。
「井椋がっこう」には畑もあるので、畑で芋を育てたり、草刈りをしたり。さらには馬糞を
運んだり薪を割ったり。来てくれた人たちと楽しみながら取り組んでいます。
また、一部の市内の公立小学校で「森林学習」という「総合的な学習の時間」のなんちゃって講師
としてこどもたちと関わっています。

質問2)今の仕事で「やっててよかった」と感じることを教えてください
こどもがとても嬉しそうな瞬間。来た人の心がだんだん開いていくのを感じるとき。
一緒に「あっ!」と驚くとき。ふとしたタイミングで四季を感じるとき。自然への感謝が自然と
出てくるとき。生き物と、言語外で通じているかも!?となるとき。など
何かと共鳴できたり、共感できたり、そういう自分だけじゃないナニカと通じ合うみたいな瞬間が
好きなのかもしれません。

質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?
ふたつの仕事をやらせてもらっています。
ひとつは小学校での授業や体験を通して子どもたちに森林環境と自分たちの関係性を伝える仕事。
もうひとつは「井椋がっこう」に来た人と自然の力を借りながら、ともに過ごす仕事。
居場所である「井椋がっこう」には、さまざまな背景を持つ方が来ます。長く自宅から出られ
なかった人、慢性的に心身の不調を抱える人、人との付き合いに疲れた人。
この仕事では、基礎的な生活のサポートも含めて関わることもあります。その人たちの中には、
人との関係だけでなく自然との関係も希薄ということも珍しくありません。
どちらもインターネットが普及し、処理しきれないほどの情報に息苦しく感じる現代社会の中で、
自然とともに過ごす時間がその人の活力となり、自然との関係を新たに結び直すきっかけになれば、
と思って関わっています。これらの活動が社会的にも貢献していると信じています。

質問4)森林文化アカデミーに入ったきっかけ
森林環境教育専攻のナバさんと出会ったからです。オンラインの講演会で出会った時の衝撃は
すごかったです。一見ラフな格好や背景で出てきた(この時点で相当怪しんでた)にも関わらず、
今まで聴いた中で一番のプレゼンテーションでした。
「大人なのにこんなに楽しそうにこどもと一緒に遊んでる!考え方もすごいなぁ!こんな大人がいるんだ!」
と思いました。その場ですぐに入学を決めたわけではありませんが、ナバさんのことが忘れられませんでした。
しばらくして、やっぱりあの先生の元で学びたい!と思いましたが、その時には入学者の募集は
終わっていて落胆。しかし、どうしても諦められずにアカデミーのホームページを見ると、なんと!
追加募集が!!すぐに申し込み、無事に入学することができました。
あの時の感覚は間違っていなかったと思っています。

質問5)アカデミーで得た学び
最近地域に入って感じることは、地域での奉仕作業やお祭りの裏方などをするときに、ちゃんと戦力に
なれる(と思っているだけかも)気がします。地域では草刈りや食事作りなど、いろいろなことをやる
必要があり、それをアカデミーでは当たり前にやらせてもらえていたなぁと感じました。
使っていないスキルはもちろん衰えていますが、それでもやったことがあるのとないのでは大違いだと
思います。また、技術的な面だけでなく、あり方を見せてくださる先生方や関係する周りの方々のおかげで、
確信は持てていないながらも自分の中で生きる指針が育まれたように思います。仲間も各地で活躍していて、
心強く、背中を押される思いです。
出会った皆さんとの時間で、心も技術も、まだまだ未熟ながら、磨いてもらったなと思います。

質問6)アカデミー入学前の仕事や家業など、バックグラウンドが活かされていると感じることがもしあれば。
最近コンクリートやモルタルで基礎を打ちました。その時に思い出されたのは、雨上がり、学校の校庭で
校長先生の話を聞いている(フリをしている)時のことでした。足で校庭の土をなん度もペタペタ。
すると水が上がってくる。校長先生の話はひとつも覚えていないのに、足でペタペタやったらどんなことが
起こって、どんな感覚だったかは覚えている。それが今日の基礎打ち作業に役立った。
なんの意味があるんだろう?と思っていた学生時代の自分に、何十年ぶりに答えを得たような気持ちに
なりました(なんの話?)。仕事で言えば、前職の方達との関係に今の自分は生かされているなと思います。

質問7)今の仕事をしていく上での「モットー」。これからこの道を目指す若者へのメッセージ
「あっ!」という、不思議や驚きを忘れたくないなと思います。また、アカデミーでも課題研究の題材とした
「試行錯誤」を忘れないようにしたいです。
これからこの道を目指す、「心が若者」なあなたへ。素敵だなと思います。いつかお会いして焚き火を囲んで
話ができたらどんなに幸せでしょうか。そういう人がいっぱいになると嬉しいなぁ。
