自然と暮らす家

長良杉や岐阜県産桧合板を用いた住まいです。太陽の熱や光、薪、地下水といった地域で賄えるエネルギーを用いて心地よい住まいを実現しました。(岐阜県)

第八回地域住宅計画賞 自立循環型住宅部門(地域住宅計画推進協議会)2013年

2012自然と暮らす家_R

自然と暮らす家 プレゼンボード

【設計趣旨と特徴】

住まいは単なる器ではなく、人の暮らしがある。事故や災害が起これば、省エネや耐震に注目が集まり、基本の暮らしが欠落している視点が多い。住まいには、どんな生活が営まれるのかがまず大事で、その理想の生活を実現するために、熱環境や省エネ、構造等の性能が必要である。

この住まいは清流長良川右岸の田園地帯に位置し、暮らしに合わせて土地との接点を多く持つ分棟配置とし、熱環境的に不利な形状であるが外部とのつながりを重視した建物である。断熱、日射遮蔽といった建物の基本性能を向上させつつ、暮らしやすさと心地よさ、健康に配慮し、太陽熱や光、風、薪、雨水、地下水といった地域で賄える資源を活かせる住まいとして計画した。

【住宅概要】

竣工年:2012年

敷地面積:宅地320.83㎡、農地596.09㎡

建築面積・建蔽率:114.65㎡・35.74%<60%

延床面積・容積率:142.19㎡・35.75%<160.40%

構造:木造2階建  家族構成:夫婦2人

次世代省エネ基準地域区分:Ⅳa地域

【住まい手のコメント】

東日本大震災の発生以降、何気ない日常生活の大切さに気づかされた。身の丈にあった、自然と調和した暮らしが具現化できる住宅を、との希望に沿った形で出来上がり、満足感は今も変わらない。地域材にこだわり、地産地消をある程度実現した。冬は暖かく予想より薪ストーブの薪の量を減らしてくれた。夏はそれなりの日光の照射は、気持ちを前向きにしてくれ、その明るさは無駄な電気を使わない大きな要因。風の流れをうまく取り込み、通気性に優れているところも特筆すべき点。木に抱かれた日々の暮らし、そこで得られる心のやすらぎは生きる活力になっている。自然とともに生き、「元気」をもたらしてくれる家は、我が家の誇りだ。

【自立循環型住宅の概要】

  • 設計要件:

自然エネルギー利用の可能性:郊外型立地で容易

ライフスタイルの指向:自然へのこだわりが高い

目標像:伝統的自然生活指向

  • 採用した要素技術

自然風利用、昼光利用、太陽熱給湯、断熱外皮、日射遮蔽、換気設備、照明設備、高効率家電

■自然エネルギー活用技術

  • 自然風の利用:直接、間接的に風を取り込み、室内通風性を向上
  • 昼光利用:居室は2面採光、非居室も全て採光
  • 太陽熱給湯:効率の良いソーラーシステムを採用
  • 太陽光発電:設置なし。ただし屋根荷重の構造的なゆとりと、設置スペースを確保

■建物外皮の熱遮断技術

  • 断熱外皮計画:熱的に不利な分棟配置と大開口を外張と充填断熱の組み合せでバランスを重視
  • 日射遮蔽手法:大屋根とすだれによる徹底的な日射遮蔽

■省エネルギー設備技術

  • 暖冷房設備計画:薪ストーブ主体による暖房計画
  • 換気設備計画:第三種換気による換気方式簡略化
  • 給湯設備計画:エコジョーズの採用やヘッダー配管による取り組み
  • 照明設備計画:蛍光灯を主体にLDKやアトリエでは簡易的な多灯分散照明計画
  • 高効率家電機器の導入:効率の良い家電を用い絶対数も少ない