美濃町の家

築100年を超える町家を、木造建築病理学に基づいて改修した住まいです。断熱区画を行い、適切なゾーンを中心に改修を考えています。(岐阜県美濃市)

第七回地域住宅計画賞 作品部門(地域住宅計画推進協議会)2012年

2011美濃町の家_R

美濃町の家 プレゼンボード1

美濃町の家 プレゼンボード2

地域性への配慮事項

岐阜県美濃市は重要伝統的建造物群保存地区に指定された”うだつの町並み”という美しい町並みがある。「美濃町の家」は、重伝建地区から道を一本隔てた通りに位置し、袖卯建と黒漆喰が特徴で、趣のある佇まいを残している。周囲にも重伝建地区内に匹敵する立派な建物も現存するが、改修助成や建築規制が無いため、安易に建て替えが進み、無機質な3階建の建物も目立つ。綺麗に整えられ維持される重伝建地区と雑多な町並みとなっていく周辺地域という格差が見えてくる。

今回、重伝建地区の外縁部に、適切なコストで、使い勝手や各種性能を向上させ、当時の面影を残すひとつのモデルが完成し、工事途中や竣工後に見学会を開催するなど、地域に向けての情報発信を行った。道路側をギャラリーとして開放することも考えている。

また、技術や文化を次世代への継承することを見据え、森林文化アカデミーと東京家政大学の学生と協同で調査、改修提案を行い、壁の珪藻土塗や床塗など、住まい手も交え、地元職人の指導のもと行った。

地域の魅力は、個々の建物だけではなく、連続している建物の表情や、そこに住む人々の活動によって育まれていくものである。「美濃町の家」が、伝建地区と周辺地区をつなぐ核となることを期待している。

作品の概要

木造建築病理学に基づく性能明確化の改修

□設計者:辻充孝+手嶋尚人(東京家政大学)

□施工者:T-PLAN建築工房

□計画概要

敷地面積:308.20㎡/建築面積:101.36 ㎡

延床面積:1階101.36㎡(内増築部分32.01㎡)

2階61.84m2 計163.20㎡

階数・構造:木造2階建て/型式:一戸建ての住宅

断熱性能:熱損失係数Q値=全体3.27W/㎡K(内、部分断熱区画部分 2.65W/㎡K)

 

作品の特徴

「美濃町の家」は1868年(明治元年)に建築され、1912年につし部分を居室に建て増された建物である。空き家となって40年近く経過し、雨漏りによる腐朽が進んでいる箇所も散見された。木造建築病理学に基づく詳細調査から、現況の性能を把握し、改修後の性能を明確にしながら改修計画をすすめた。

高齢者2人の住まいである美濃町の家は、性能要素によって部分改修とし、工事費を調整しつつバランスを考えながら必要な性能を持たせた。

劣化・耐震改修は家全体、バリアフリー改修は一階部分のみ、温熱改修は生活の中心となる居住空間のみとし、間仕切り壁や二階床に断熱する部分断熱とした。

改修後の2階平面図(色塗りは 隣家が密着しているため外部からの工事は難しく、内部にベタ基礎をつくり、新たな軸組を設け、この部位に構造と温熱性能をもたせることで、ファサードは当時のおもかげを残した。


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