木工専攻
卒業生の進路

遠藤 智史

「木育」で木のある暮らしを。アカデミーでの研究成果を全国の自治体に広めるNPOスタッフ

endo1

プロフィール

1989年 生まれ
認定NPO法人 日本グッド・トイ委員会 ウッドスタート事業部(東京おもちゃ美術館) 勤務

自由学園卒業後、アカデミーへ入学。ものづくり講座を専攻。「大学を出てまだ勉強するのか!」と言われましたが、アカデミーは大学の延長という場所ではなく、社会や地域に対してとても実践的なカリキュラムが多数あり、学生でありながら社会人として行動するような毎日でした。この様な教育環境が、新卒と言えど現場の第一線に抜擢される「まった無し」の就職先でもやり抜く行動力が身についたと思っています。


endo2質問1)今の仕事内容を教えてください

「ウッドスタート」という木育の取り組みを日本全国に広めています。その地域の森林の木を活かして、その地域の木工職人さんが、その地域に生まれ育つ子どもたちのために木のおもちゃを作り、子育て支援や産業支援へと繋げ、「木のある暮らしのはじめの一歩」となる仕組み作りをする仕事です。国産材の自給率は約30%ですが、木のおもちゃの自給率は5%も無いと言われています。
オフィスは東京新宿にありますが、地方出張が多く①事務所勤務と②外勤では業務内容が全く異なります。
①事務所勤務:9時出勤、事務作業、電話対応、窓口業務、打合せ×3~・・・、→21時~22時退勤。
②外勤(出張先):羽田→全国各地へ:役所打合せ、森林組合や素材生産者のお話を伺う、製材所や木材加工メーカーや個人工房を回って打合せ、子育て支援センターや保育園などを視察→帰京。

endo3質問2)今の仕事のなかで「キツいな~」と思うことと、やりがい(やっててよかった~)に感じることを教えてください。

全国各地からものすごい勢いで仕事が飛び込んでくるので毎日時間が足りません。ありがたいことなのですが、ワークライフバランスは最悪です。木育の職場なので,木の知識を持った人がもっといてくれたらなと思うことがあります。「木製玩具」という分野の展開が全く無かった地域で、赤ちゃんの手元に地産の木おもちゃが届いた瞬間は、とてもやりがいを感じます。
日本の木のおもちゃは確実に増えてきています。

endo4質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献 をしていると感じますか?

ウッドスタートを広めることで、「木育」を切り口に、森林林業林産業と全く関係の無かった地域や企業・子育て支援関係者が繋がり、木の価値観を改めるキッカケになっていること。子育てや暮らしの中に身近な木を取り入れることの意味や可能性を少しずつ理解されるようになってきたのではないかと思っています。

質問4)アカデミーに入ったきっかけは?

アカデミー入学前は、自由学園に在籍し、クラス全員で教室の机と椅子を自分の手で作ったり、一週間山の中に篭って森づくりをしたことが、森林や木に興味を持ったきっかけでした。他にも、ネパールで植林活動をしてきたことや、卒論でESDをテーマにしていたこともあって、アカデミーでより専門的に学びたいと思いました。「社会をよくする」実践的な自由学園の教育は、今の自分のかなりの部分を形成していると思います。

endo5質問5)アカデミーで得た学びは何ですか?

課題研究では岐阜県美濃市のウッドスタート事業を取り上げ、地域材を活用したおもちゃ作りを市内で全て完結させることを目標にして仕組み作りを行ないました。前例が無く、また市の事業を学生が主体的に動かしていくことが出来る課題研究があったからこそ、全国各地に広める今現在の仕事のベースを構築することができました。

endo6他にも、多くの専門家の方が非常勤講師として招かれ、技術的な話しや現在の課題など生の声を現場で聞くことが出来たこともよい学びとなりました。木工の分野では、鑿や鉋の仕込みから大型木工機械を使って一通りの制作体験を行うことや、木材同定で樹種を見分けられるようになったことなど、決して手を動かして物を作る仕事ではない道を選んだ私でも、今の仕事には常に活かすことが出来ていると実感しています。

endo7質問6)自分の専門分野の授業以外で役に立った(あるいは履修した)科目、プロジェクト、活動

森林文化論や森林から木材・暮らしへといった共通科目は専門の枠を超えて多角的に学べる素晴らしい講義でした。教員の方々が取り組んでいる講義外のプロジェクトに学生として関わっていけることもかなり特典だと思います。ただ、現在全国各地を飛び回って仕事をしている身分としては、もっと全国各地の先進的な取り組みを講義に取り入れるべきじゃないか?と思うことは何度もあります。

質問7)今の仕事をしている中での「モットー」。これからこの道を目指す若者 へのメッセージ

自分もまだ若いです。まだまだ経験浅はかな若者です。若者らしく釈迦力になって何でもやってみることですかね。未来をつくるのは確実にその若者たちで、後を追いかけるように今の子どもたちが次の未来をつくっていきます。今やっておきたいこと、今しか出来ないこと、未来のために今やるべきこと。アカデミーにはこれらの「こと」が沢山植わっています。

主査からのコメント

遠藤君は、美濃市が手を挙げ動き始めた「ウッドスタート事業」を課題研究に取り上げました。自由学園時代から持っていた問題意識である「目の前にある森林が生かされない」ことへの課題解決につながるのではないか?と直観したのでしょう。当時はモデルがない中、唯がむしゃらに理想を諦めずに目指しカタチにできたのは、大学からストレートに入学してきた若者の純粋さがなし得たことであると感じます。次代に希望を感じることができたことを主査として改めて感謝します。愛用のバイクに跨り、川上から川下まで本当にフットワーク良く行動していたことが印象的でした。地域の皆さんが「子どもたちのためなら」と協力して下さったことは遠藤君自身の人柄であったと思います。心と身体にはどうか気をつけて木育推進へ邁進して下さい。(教授:松井勅尚)


連絡先

木育ラボ http://mokuikulabo.info/

ws@mokuikulabo.info

文字の大きさを変更する
色を変更する